異呆人

ノンフェータルなペシミズム

仕事が重くなって胃が重くなる

部長の仕事をすることになった。

念のため書いておくと、私は部長ではない。

いわゆる主任クラスの肩書きである。

肩書きは主任のまま、職務内容だけ部長のそれを請け負うことになる。

闇の二階級特進

二階級特進するなら死んでからでいい。

というか、仕事はしてもいいから、せめて待遇を上げて欲しい。

そんなこんなで肩の荷と胃が重たい夏。

梅雨は明けたが気は晴れない。


そもそものきっかけというか火種は、私の預かり知らないところで上がっていた。

どうやら昨年度の決算書類に一部誤りがあったらしい。

私からすればベンチャーに毛の生えた程度の会社だが、そこは上場企業の末端であるからに、その誤りはかなり重く捉えられたらしい。

「誤りが」というより「誤りの原因が」。

そもそもうちの会社の経理というのは、規模に見合って多分に属人的で、ほぼ1人のご老人の手によっている。

この人、老いてもなかなかの切れ者ではあるのだが、普通ならとうに隠居しているようなご年齢で、会社としてもさすがにそのまま任せてはおけず、何度か人を雇って引き継ぎを試みている。

しかしなかなかに偏屈な人でもあるので、引き継ぎを試みた人が片っ端から短期間で辞めていくのである。

私も詳細は知らなかったのだが、どうも「人間関係」が理由らしく、要はそのご老人に問題があるという認識がなされている。


そんな具合でどうしたものかと思っていた矢先に今回のミスが発覚したのだが、どうやらそのご老人は自分の仕事の結果を他人が検証できる形で残していなかったらしい。

だからミスの原因も不明。

この「説明不能」という状態が組織というものでは非常に嫌がられるため大ごとになっている。

ここまでは仕方ない。

それで早急に間違いなく引き継げる人間を配置しろということになり、私の部署の隣接部署の部長が配置されることになった。

この部長は経理は門外漢のはずだが、うちの会社の草創期からのメンバーで社内事情には精通しており、罷り間違っても退職することはないと思われる。

これまた止むを得ない事情で前回も異動になって現在の部署に収まっている人で、その適応力の高さも評価されたものと思われる。

これもまた仕方ない。

他に当てる人材がいないし、外部からの雇用は何度か試みて失敗に終わっている。


ここからが本題で、その部長の異動で空いた席に私の上司である部長が異動することになった。

確かに隣接部署ではあるし、業務は比較的引継ぎやすいというか、馴染みやすいとは思う。

他に適当な人材もいないし、外部雇用や出向者を招いて一から業務を覚えてもらう時間的な余裕もない。

これもまた仕方ないのか。

そんな玉突き人事の影響で、私の部署の部長が空いてしまった。

もうこの玉突きの果てに回せる部長級はいない。

別の部署の部長が兼務するには業務量的に荷が重いし、そもそもこの業務に精通している人がいないので形だけ兼務されても何の意味もない。

私の部署の業務というのはこの4月に根本的に大幅に変わっており、正しいやり方というものを誰も習得していない。

私と今の部長が「これでいいかな〜」と相談しながら進めているレベルである。


つまり、部長がいなくなると今の業務を理解している人が私しかいなくなる。

だから本質的に私がするようなことではない重たい業務も含めて、私が引き継ぐことになった。

私は管理職ではないので、形の上では担当役員が部長を兼務することになっている。

ただし役員に実務をさせるわけにもいかないので、実質はほとんど私が業務を担う。

これがとても辛い。

そもそも今の状態でも定員から1名少ないのである。

だから役員に掛け合って派遣社員を雇ってもらうことになっていた。

しかしそこで派遣社員に任せることを想定していたのはいわゆる一般事務であり、私がやっている仕事のうち専門的な知識が必要なものは任せられない。

ついでに言えば、私の仕事の大半は専門的なものである。

私は自分の仕事がほとんど減らないまま、部長級の仕事を引き継ぐという仕打ちを受ける。

これはいくら私が効率良く仕事をしても補えないほどの物量である。

もっと言えば、今の私の業務の大半は私が作業してその内容を部長に確認してもらっている。

その状況で単に引き継げば、私が作業して自分でチェックするというよろしくない状態になる。

だから私が作業してそれを誰かにチェックしてもらうか、誰かに作業してもらって私がチェックするかにしなければならない。

後者の方が現実的なのだが適任がいない。

これが致命的である。


あと質的な点で私が辛く思っていることが苦情対応である。

私の部署は営業サイドの苦情を一手に引き受けていて、その終着点が直属の部長になっている。

私も苦情対応を行うが、それは比較的軽微なものであり、部長がわざわざ行う苦情対応というのはわざわざ行うようなレベルのものなのである。

「こうなってますけど、どうしましょう…」と相談していたものが、相談される側になる。

どこにも回す余地がなく、自分の手で収拾をつけなければならなくなる。

これが想像するだに気が重い。

もちろん処理するだけでなく、その結果を会社の中枢に報告する義務を負う。

他の同僚や後輩が対応した苦情も、自分が一度報告を受けてからまとめる必要がある。

これが種類も程度も様々で、対応から改善策までまとめるとなると頭が痛いし、胃も痛い。

量も多いのに、これだけ重たい仕事を与えられてはやり切れない。


この想定されている引継ぎがいかに無謀なものかは私も主張しているし、問題点については会社側も理解してくれていると思っている。

しかしながら「他の選択肢がない」ということで、大枠の路線は変更になりそうもない。

ただでさえ溜まった休みを消化する間もなく残業だけが積み重なる。

まぁ残業代はきちんと出るのでいいのだけれども。

子どもも生まれて入り用だし、ボロボロになりながら働けばいい。

その先に何があるかは知らないし、今のところ何も期待していない。

とりあえず定期的に流して捨てたい、ただの愚痴である。