異呆人

毒にも薬にもならない呟き

さくらももこ氏への哀悼と勝手な親近感

著名な漫画家であるさくらももこ氏の訃報に驚きをもって接した。

そんな年齢だったかと思ったが、まだ50代半ばと亡くなるには若い。

まぁ、人生何があるかわからない。

私だって明日には死んでいる可能性もあるわけで、そんなことを言い出せばキリがないのだが。

何にせよ、残念である。

 

日曜日のテレビ番組といえば、「ちびまる子ちゃん」からの「サザエさん」というコンボが相場となった時代を生きてきた人間には、氏はとても馴染み深い人だと言える。

氏が作詞した「おどるポンポコリン」なる珍妙な曲は大ヒットとなり、長くアニメの主題歌として使われ続けたし、間違いなく日本人の多くが名前を知っている漫画家の一人だろう。

私にとってはアニメより漫画の方が印象深い。

誰か友人が持っていたのか、どこかで借りてきたのか、どういうきっかけだったかはさっぱり思い出せない。

ただ漫画「ちびまる子ちゃん」を数冊読んだという記憶と、それが非常に面白かったという記憶だけが残っている。

アニメの「ちびまる子ちゃん」がキャラクターとしての「まる子」のお話だとすると、漫画の「ちびまる子ちゃん」はさくら氏の実体験が色濃く反映された私小説的なものだったと記憶している。

巻末には、それこそ実体験の漫画も載っていたりした気がする。

なんというか、思わずクスッと笑ってしまうような、「いやいや!」と思わずツッコミを入れてしまうのだけども非現実的ではなく親近感の湧くような、そんなユーモアに溢れていた。

余談だが、こちらも鬼籍に入っている臼井儀人氏の「クレヨンしんちゃん」も、アニメより漫画の方が面白かったと思う。

やはりTVで万人が見ることを考えると、どうしても丸くしたり、一般ウケするようにしたりする必要があるのだろか。

 

実はさくら氏に関しては、エッセイである「もものかんづめ」と「さるのこしかけ」も読んだことがある。

これには理由がある。

私が中学生の頃から愛読している土屋賢二氏とさくら氏が「ツチケンモモコラーゲン」という対談集を出していて、それでさくら氏のエッセイにも興味を持ったのである。

私は土屋賢二氏を高く評価していて、その土屋氏の面白さがわかる稀有な人も高く評価している。

実は同様の理由で読み始めたミステリー作家の森博嗣氏の著作も、ほとんどすべて読むほどのファンになっているので、この「好きな人と知己のある人は好きになれる」という法則はある程度当てはまるのではないかと思っている。

さておき、そんな理由で私はこれらの人間的には一風変わったと思われる作家さんたちに、勝手で一方的な親近感を抱いている。

一緒に飲みに行ったり、ご飯を食べに行ったりしたら楽しいんじゃないかというような幻想を抱いている。

だから、さくらももこ氏の訃報というのは、「喋ったことはないけど行きつけの飲み屋でよく見かけるおばちゃんの訃報」のような感覚があった。

いや、ただそれだけなのだが。

 

ちびまる子ちゃん」は、いくつかある原作者が不在となっても作り続けられるアニメのようになるのだろうか。

そうなるなら、さくら氏の分身だった「まる子」は、長い年月を経て普遍性を獲得し、偶像になったと言えるのかもしれない。

本人にとってどうかは知らないが、それはある意味作家にとって冥利に尽きるのではないだろうか。

まぁ、関係ない第三者の勝手な言い分である。

ともかく、ご冥福をお祈り申し上げます。