異呆人

毒にも薬にもならない呟き

一眼レフの憂鬱

盆休みが終わった。

厳密に言えば、うちの会社に夏季休暇はなく、「連続休暇」と言って有給休暇をつなげて消費させられるだけであり、有給休暇どころか休日出勤の振替休暇の取得すらままならない私には、有難いんだかそうでもないんだかわからない代物ではある。

もっと言えば、盆休みの最後の1日が休日出勤となったため、終わったんだか始まったんだかわからない複雑な気分である。

まぁ、長く休めるだけありがたいとは思う。

 

盆休みのメインイベントは、私にとっては帰省である。

これは実家を出てから向こうずっとそうである。

妻と交際してからは、これに妻の誕生日が加わることになった。

大体、帰省して関東に戻ってきてから祝う運びとなる。

毎年、近場の妻が行きたい場所に出かけて、小洒落たディナーでもして帰るのが定番である。

ただ今年は妻がつわりで体調が良くないので、どうしたものかと思っていた。

本人に聞くと「外出はしたいけど、ご飯は体調次第」というので、いつも通り近場に出かけて、ケーキだけ予約して飯は家で食べることにした。

結果的にお盆前くらいから妻の体調は少しずつ良くなり、概ね快適に過ごすことができたようである。

重たいクリームのケーキが食べられないからと予約したフルーツタルトにも喜んでいた。

 

そして誕生日プレゼントである。

私は毎年、欲しいものを聞いている。

交際して最初の誕生日こそ私の独断で準備したが、欲しくもないものをもらっても誰も得しないというのが私の考え方である。

サプライズにあまり価値を見出せない。

そんな博打みたいなことに大枚はたくなら、本当に博打でも打ってる方がいい。

一昨年は少し良い財布だった。

昨年はいくらでもないヌイグルミ。

今年は一眼レフカメラを所望された。

一眼レフか…

 

「良いカメラが欲しい。できれば一眼レフが」という話は以前から聞いていた。

妻は写真を加工する仕事をしている。

だから写りの悪いものであっても多少はどうにかするのだが、やはり元がどうしようもなければどうしようもない。

彼女のバックグラウンドまで考慮するなら、その意見はわからないでもない。

しかし私にとって写真とは、単なる記録である。

いや、アートとしての写真というものの存在は認めるが、私が撮った写真は逆立ちしてもアートにはならないし、彼女の撮ったものだって身内で眺めてわいわいするだけのものだろう。

これまでは旅行の写真などは、デジカメやスマホカメラで撮ってきた。

今どきのスマホカメラは自動補正が優れているので、素人が撮るならなまじデジカメ程度で撮るよりも断然良い。

というか、それで十分だと思う。

 

ということで、私はその話になるたびにやんわり諭すようにしていたのだか、彼女はそのたびに「子供ができたら綺麗な写真を残してあげたいじゃん!」と反撃してきた。

子供という一般的に人が「何にもまして」と考える存在をダシにするあたり、卑怯な戦法である。

そして今まではそれが未来系の仮定文だったものが、現在進行形で近い未来の予定を表すものになった。

おまけに今年は彼女の妹の結婚式がある。

事欠かないとはこのことで、RPG的に言えば彼女のお願いはクリティカル補正が入って2倍以上のダメージを弾き出す状況だろう。

そんなわけで、一眼レフカメラを買うことになった。

 

妻にネットで調べさせて候補を絞らせ、近くの家電量販店に向かった。

売れないのか、いつの間にか売り場面積が縮小されていたが、流石にカメラ売り場はあったし、一眼レフも目玉商品的に並んでいた。

妻は候補を2つに絞っていた。

それぞれのスペックを眺めたが、意味がわからない。

その場でネット検索し、これから買う人向けの記事を読んでスペックの意味を粗方理解し、どちらが良いか把握した。

それからベンチに腰掛け、ネットでの相場を調べ、店頭の価格が異様に安かったので即決した。

基本的に価格交渉はしないのが私のスタイルである。

そうして買ったものがコレ。

www.youtube.com

ネットで調べた限りでは、エントリーモデルの中では良いものらしい。

「初心者向けの一眼レフ」というフレーズそのものが、私には矛盾を孕んでいるように思えて仕方ないが、そういうことをいつまでもつつくのは潔くない。

 

妻はいたく喜んでいた。

この買い物の一番の効果は、この一時的な高揚感であるような気がする。

どうせならある程度しっかり使いこなせるようになってほしいが、あまり凝り出しても大変かもしれないので、ほどほどに楽しんでくれるとありがたい。

いっそ私が一眼レフを使えるようになることが、この投資を回収する最短ルートなのかもしれないが、やはりどうしても写真を撮りたいという欲求が湧かない。

ブログもそうだが、書かなきゃいけないという義務感から書いても良いものにはならない。

写真もただの記録以上のものを撮るのなら、被写体を撮りたいと思えることが必要だろう。

まぁ、使い方くらいは覚えておくかな。

高いオモチャで終わると、やはり悔しいし。