異呆人

毒にも薬にもならない呟き

間違い

シンパシー - 異呆人

シンパシー② - 異呆人

 

彼女から「急だけど、明日飲みに行ける人いる?」と、職場の同僚のグループLINEにメッセージがあった。

なんでも、旦那が急に休みを取ることになったから、子供を見ていてもらえるので飲みに行きたいという話だった。

本当に飲み歩くのが好きな女性だなと思う。

まぁやることはやっていて、誰に迷惑をかけているわけでもないからいいのだろうが。

私は予定がなかったので、「行ける」とだけ返事をした。

しかし、その後、続々と「予定がある」、「行けない」という返事があり、結局「行ける」と答えたのは私だけになった。

急な話だったので全員は無理だろうと思ったが、まさか私以外の誰一人参加できないとは。

 

しばらくして「朱天さんと2人で飲みに行って間違いがあってもなんだから、1人で飲みに行くことにします」とメッセージがあった。

そのグループLINEにそのまま。

「間違い」というフレーズに、ドキッとした。

確かに100%、何が何でも「間違い」はありませんと言うつもりはない。

彼女は女性として十分に魅力的ではある。

ただ、グループLINEに流すメッセージとして、もう少し表現というか言い方というかを変えた方がいいだろう。

わざわざ「間違い」なんて言葉を使う必要はない。

私みたいなうがったものの見方をする人間からすれば、「間違い」の起こり得る2人だと受け止められかねない。

そのグループに参加している人数は少ないとはいえ、入社して間もない社員もいる。

変な誤解は避けたい。

 

まぁ、冗談のつもりだろう。

冗談なら冗談と分かりやすいように、誰かツッコむか茶化すような合いの手を入れて欲しい。

そう思いながらしばらく待ったが、誰も何もリアクションしなかった。

仕方ないから自分で草を生やしてツッコンでおいた。

笑いに変えてなんとかしようというのは、私のお国柄だろうか。

翌日、「『間違い』って言ったら、朱天さんに失笑された」と、彼女がボソッと言ってきた。

いや、別に失笑したわけではない。

「君みたいな女性とは間違いなんて起こり得ませんよ」という笑いではない。

逆だからこそ、笑いに変えてしまった方が誤解がなくていいと思ってのことである。

とまあ、いろいろ弁解したいことはあったが、めんどくさかったので苦笑いだけ返しておいた。

相互理解を放棄するのは最近の私の悪い癖だが、実際、完全に理解し合う必要もないとは思う。

 

さておき、「間違い」とは何だろう。

もちろん、この文脈での「間違い」が何かははっきりしているが、そうではなく、人生において「間違い」というのはあるだろうか。

法律に違反することは悪いことである。

マナーやモラルに背くことも悪いことかもしれない。

逆に規範的なことは良いことかもしれない。

「悪い」の反対は「良い」であり、それを社会的なルールを基準にして考えることはできるだろう。

しかし、「間違い」の反対は「正しい」なのである。

もし「良い」、「悪い」とは別に「間違い」と「正しい」を考えるなら、「正しい」生き方があることになる。

それは個人の価値観の中にあるものではあっても、絶対的な基準として広く共有できるものではないだろう。

人生には「正しい」も「間違い」もないはずである。

 

まぁ私としては、そんなしょうもない言葉で深々と意味を勘ぐる羽目になった。

2人で飲みに行くのは面白くないから、冗談めかして言ったのであればそれでいい。

本気でそう思われてたのなら、なんだか微妙である。

素直に嬉しくもあるし、でもそんな心配せずに飲みに行ける仲でありたいし、実際今そういう関係だと私は思っている。

だがそんなこんなも、数日経てばきっと忘れていることだろう。

師走は早い。