異呆人

毒にも薬にもならない呟き

口ごたえが多い

syuten0416.hatenablog.com

 

この仕事がなくなったという話を以前に少し書いた。

なくなったので別のプロジェクトを立ち上げることになり、その指示出しをさせられることになったことも少し書いた。

ただし私の仕事の基本は、自分が担当する西日本エリアの新規開拓と既存取引先のフォローである。

だから首都圏に住んでいる私が己の職務を全うしようとすると、スケジュールが出張まみれになる。

大きな案件がなくなったことで、自分の数字はともかく会社としてはあまりよろしくない状況になったので、「ちょっとがんばらないとな」と思い、近々のスケジュールはびっしり埋めていた。

そんな矢先のことである。


珍しくスマホのアラームをセットし忘れ、1時間ほど寝坊した。

私は普段、1時間以上早く出社しているので(早出の時間外はきっちり申請している)、会社には十分間に合う。

ただ朝一の業務ができないので、まぁそれは後輩たちがやっておいてくれるだろうと(本来は後輩が中心に行う業務である)、のんびり出社していた。

しかし出社してみると、どうにもバタバタした雰囲気である。

どうしたのか聞いてみると、今年の頭に取引がなくなった会社が、また取引を再開することになったとのことだった。

個人的にはあまり信用ならない相手だったので、なくなったらなくなったでいいのではないかと思っていた。

だが会社としては苦しい状況なので、上層部が無理をして取りに行ったのだろう。

規模の大きい取引先である。

そうなると、いろいろ準備があるので忙しい。


「何か手伝おうか?」と、私が言うと、後輩は「ありがとうございます。でも、あとで部長から話があると思いますけど、私と朱天さんが担当みたいです…」と言った。

「はぁ?」と思わず声が出た。

その取引先は、今までにも何度も付いたり離れたりしながら取引をしている。

私は一度も担当したことがない。

しかもその取引先の店は、関東広域に散在している。

西日本担当の私がする仕事ではない。

釈然としない気持ちで朝の業務をこなし、部長と打ち合わせをした。

そこで今回の案件の詳細を聞いて思ったことは、「正気でない」ということだった。

確かに上手くいけば得られる果実は大きいが、失敗すれば一年間の会社の利益が軽く吹き飛ぶほどの、破格の条件提示である。

そして四則計算くらいできれば、上手くいかないだろうことはすぐわかる。

確かに私は悲観的で批判的な意見をよく口にするが、この案件に関してはスタンスの問題ではなく、単純に考えて失敗する可能性が高い。


「正気ですか?」とストレートに部長に聞くと、「社長とB部長が決めたことだから、2人に責任持ってもらうしかないよね」ということだった。

社長は親会社から寄越されて日が浅く、状況がわかっていないだろう。

そそのかしたのは余計なことばかりするB部長か。

まぁケツを持つならそれでいい。

ただし私が現場を担当するということは、その正気でない話に絡むということである。

それについてはいろいろ話をされたが、要は全体的なマネジメントをしてほしいとのことだった。

上層部には現場をコントロールする能力がない。

後輩は現場対応はできるが、全体を見渡して方針や戦略を決めていく仕事は荷が重い。

現場対応をしながら、状況を見て逐次適切に上と連携し、下を動かすのがミッションだそうである。

中間管理職か。

リスクと難易度を考えると割に合わない。

まぁ、やれと言われればやるのがサラリーマンではある。


その後、社長からも今回の案件に関する説明があった。

あまりに楽観的過ぎて、どこからどう突っ込めばいいか困るくらいだったが、半分くらいは黙って聞いていた。

一つ、今回の案件を上手く進めるために、相手に売上データを全部提供させるようにだけ釘を刺した。

そこがわからなければ、上手くいかなかったときに原因がわからない。

相手に言い訳の余地を残すし、責任の所在がうやむやになる。

万一にも「お前のマネジメントや現場対応が悪かった」と言われないためにも、そこは譲れない一線である。

あと、社長が新人の出来を批判しだしたので全力でフォローした。

部長は「指導が行き届いておらず、すみません」と頭を下げていたが、それは社長のような現場のわかっていない人間が言っていいことではない。

彼はまずまず上手くやっているし、社長の指摘は主観が入り過ぎている上に的外れである。

ただ「気に入らない」と言っているに等しい。

私の2つの抗弁に社長は憮然としていたが、「とりあえず、上手くやってくれ」と言われて終わった。

その打ち合わせのあと、部長から「わかったと思うけど、社長、意見されるのが好きじゃないみたいでさぁ…」と言われた。

「すいませんね。口ごたえが多くって」と、私は言った。

「いや、朱天はそれでいいんだけどね…」という部長のセリフが、本心だったかどうか。


こんな気乗りのしない仕事のせいで、9月のスケジュールの空いていた休日4日が、休日出勤に消えることになった。

地味に忙しいではなく、本格的に忙しくなってしまった。

それにしても、歴代の社長は必ず高い勉強代を払うのだが、今回はさすがに桁が違う。

どうするつもりだろうか。

まぁ最悪、会社がなくなったら次の居場所を探すだけなのだが。

とりあえず、やれるだけやりますかね。