異呆人

毒にも薬にもならない呟き

無言の圧力

仕事をしていてときどき「朱天さんって、無言の圧力をかけてきますよね…」と言われる。

そんなことを言ってくる当人には「そんなことないよ」と言うのだが、もちろんそんなことないわけはなく、無言の圧力をかけている。

わざわざ言わない理由は一つで、言わない方が効果があるからである。

だから言った方が効果がある人、というか言わないと効かない人にはストレートに言って圧力をかける。

まぁ言わないと効かない人のうちの半分くらいは、言っても効かない人だったりするが。

 

そもそもなぜ圧力をかけるのかと言えば、それが仕事だからである。

例えば、営業職にはたいていノルマがある。

営業のマネージャーというのは、各員がノルマを達成できるようにマネジメントするのが仕事である。

「数字悪いけど大丈夫?」と成績不振者に聞くことが圧力と言える。

この言い方だとかなり緩いと思われるが、まぁそんな感じである。

あるいは私の仕事は取引先に商品を売ってもらうことである。

取引にはいろいろ条件があるもので、場合によっては「頑張って売ってね」と尻を叩く必要もある。

これもまた圧力である。

圧力をかけると、嫌な顔をされるものである。

だからよほどのドSでもない限り、喜んで圧力をかける人はいないだろう。

しかし嫌な仕事だからとやらないのは、ただの職務怠慢である。

圧力をかけられる側の人は「こいつも仕事だから仕方なくやってるんだな」と我慢してあげてほしい。

 

私はそういう圧力をかけなければならない場面において、何も言わないことがしばしばある。

そもそもたいていの人は「そんなこと言われなくてもわかってるよ!」という状態なのである。

本人に自覚があるのに圧力をかけることは、余計なお世話か、相手をただ追い詰めるだけである。

成績不振なら、不振の理由を確認したり、必要があればアドバイスもするだろうが、わざわざ「もうちょっと頑張ってよ」なんて言うのは愚である。

それに、人によっては本人が一番、状況そのものに圧力を感じているのである。

そういう人はえてして自分を追い込みがちなので、余計な圧力は逆効果である。

 

そうやって何も言わないでいると、自分で圧力を感じて、ただ普通に接しているだけでも「頑張らないと」と思うらしい。

そしてそれを無言の圧力と受け止められる。

私は自分自身でそう思ってもらうために何も言わないので、そう感じてくれるのは意図した通りだと言える。

自分自身で気付いてもらう方がいい。

行動というのは、自発的なものの方がコミットメントが高い。

言われてやらされることは、モチベーションも下がる。

無言の圧力というのは、言い換えれば「気づきの促し」である。

だからマネジメントする側が考えることは、いかに直接言及せずに危機意識を持ってもらうか、主体的に動いてもらうか、ということだと言える。

 

しかし「無言の圧力」がかかっていると主張されるということは、やり過ぎなのだろう。

私としては柔らかくやっているつもりだが、こういうのは受け取る側の感覚がすべてである。

人によっては、私が電話しただけで「何かやらかしましたか?」と恐縮する。

そんなに怒ってもないし、怖くないつもりなのだが。

まぁ、甘い人間でないことは間違いない。