異呆人

毒にも薬にもならない呟き

ある休日

目的もなく、平日に休みを取った。

休日出勤する予定があったので、その振替である。

やるべき仕事はたくさんあるので、振り替えずに通常スケジュールで仕事をするという選択肢もあった。

だが、ここは無理をするところではない。

野球で言えば、日本シリーズならスクランブルで間隔を空けずに連投することもあるかもしれないが、ペナントレースならそんな無理はしない。

135試合という長丁場を考えたら、目の前の一戦は数ある一戦のうちの一つである。

それと同じで、今多少忙しいからと仕事を詰め込んでも、長い目で見たら疲労がマイナスに作用することもあるかもしれない。

忙しくてもまだコントロールできるレベルである。

そう思って、休みにした。

 

朝ゆっくり7時半に起き、遅い出勤の妻に合わせて朝食を作って食べる。

洗濯物を干すのは、いつもは朝の時間に余裕のある妻の仕事だが、休みの日くらい代わってあげて、ゆっくり過ごしてもらうことにした。

9時に家を出る妻を見送ってから、ランニングに出ることにした。

快晴。

9時ならもうかなり暑い。

それでも私は炎天下で走ることが嫌いではない。

太陽に焼かれ、汗をダラダラ流しながら走っていると、生きていることを実感できる。

沖縄にいた学生時代も、そうだった。

やめようと思ったのに、やっぱり陸上競技を続けていた。

自分が速い選手でないことは十二分にわかっていた。

懸命に練習しても、何にもならないことはわかっていた。

それでも続けたのは、走ることでしか得られない何か、走ること以外では得られない何かがあったからだと思う。

 

時間に一番余裕があった4年生のときは、練習量だけで言えば箱根路を走る選手と同じくらいのものをこなしていた。

そこまでしても自分がトップクラスには遠く及ばないことは知っていたし、実際にやっぱり遠く及ばなかった。

コンクリートの壁を拳で殴っている気分である。

誰がどう見ても絶対に破れない。

本人もそれはわかっている。

だがその現実を痛感することが、そしてその現実を受け入れながらも、決して壁を殴ることをやめないことが、生きるということの本質なのではないかと思う。

少なくとも、拳の痛みと流れ出る血は、自分が生きているということを教えてくれる。

 

まっすぐ走るのっぺりとした湘南の道を、潮風を浴び、陽に焼かれて、吹き出す汗を拭いながら走る。

灼熱の太陽の下を走ると、そんな学生時代の記憶が蘇ってきた。

あの頃ほしかったものは、言葉にできない純粋な何かで、ただただ走ることで、私はそれに指先だけでも触れられたような気がしている。

今はもうそんなことはできないし、その感覚に近づくことすらできない。

足取りが重いのはそんな気持ちからではなく、単に筋力が落ちて前に進まないだけである。

江ノ島あたりまで走り、折り返して十数km。

最後はかなりバテて、他人からしたら見苦しいだろう有様だった。

今の私には、そんな無様がお似合いである。

 

家に帰ると、会社の携帯に着信が3件あった。

平日の午前中だから大丈夫だろうと思って携帯を置いて出かけたが、まったく、忙しいことで結構なことである。

3件の用件をパッと捌き、シャワーを浴びてから、昼食の準備をする。

妻の弁当を作って、自分もその弁当のおかずで昼食にしようと思ったのだが、休みの日にわざわざ弁当を作ってもらうのは申し訳ないと妻に拒否された。

気遣われたのか、たまにはどこかでランチしたいと思ったのか。

とりあえず米だけ炊いて走りに出たので、インスタントラーメンを茹で、ラーメンと卵かけご飯にした。

卵かけご飯は、人類が誇るべき最高傑作の料理の一つである。

タンパク質と炭水化物を摂取でき、安価で、美味しい。

一手間かければ、いろんなバリエーションが楽しめる。

私はオーソドックスに卵と醤油しか入れない。

学生時代はほぼ毎日、この卵かけご飯とラーメンの炭水化物コンボだった。

安い冷奴をつけても200円もしない。

 

飯を食って、スマホゲームをダラダラプレイし、気が向いたので浴室と洗面台とキッチンの水回りの掃除をした。

換気して塩素系の洗剤を使い、カビも水垢も一緒くたに洗い流した。

天気がいいと、掃除も気持ちいい。

そして一呼吸置いた今、こうやってダラダラと駄文を書き連ねている。

こんな毎日だったら、いいなぁ。

今日はあと、買い物をして、夕飯を作るだけである。

それも余裕があったので、大体のメニューは考えてある。

昨日半額で買ったイカとアサリとニンニクの芽の炒め物と、同じく半額で買った牛肉で肉じゃがにしよう。

あと一品くらい何かつけて、味噌汁でも作ればバッチリである。

 

明日からはまた、3泊4日で出張。

激しい立ち回りを演じる前に、ほんのひとときの休息を。

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