異呆人

毒にも薬にもならない呟き

攻めるは易し、守は難し

第一四半期が終わった。

私の営業成績は芳しくない。

私はあまり数字は気にしないタチである。

目標の達成率とかは、目標の作り方次第でなんとでもなる。

今年度の私の営業目標は、割りを食ったものになっている。

正直、会社としてあまり伸びが期待出来ないタイミングにも関わらず、会社からは「1割増」という根拠のない数字が出てきた。

部長も反発できずにその数字を受け入れた結果、それはどこかに割り振らなくてはならなくなる。

それを一番多く振られたのが私だった。

仕方ないことではあるので私も了承しているし、上司もわかっているから今の状況をとやかくは言わない。


だから肝心なのは中身である。

だが、現状では中身も伴っていない。

まさに苦境というような状況にある。

私の担当取引先はほとんどが私自身が開拓したものだが、フリーの取引先があって、そこが当社だけしか扱わないという状況はまずない。

大抵はすでに取引のある同業他社から引き剥がして、こちらを振り向かせるのである。

私は一昨年、猛烈な勢いで攻勢をかけた。

相手の弱いところを突き、なおかつ対応出来ないほど同時多発的な波状攻撃を仕掛けた。

そのせいで、同業他社の間では「要注意人物」として個人名が知れ渡っていたようである。

まぁ営業なんて、警戒されるレベルになってナンボである。

 

ただもちろん、他社も取られっぱなしで黙ってはいない。

今、その反転攻勢が強烈なのである。

後発の当社は規模に劣るので、真正面から勝負したら勝負にならない。

だから攻めるときは「同時多発的」にし、相手の守備の手が回らなかったところを落としたのである。

そもそも営業の人数すら5〜10倍の違いがある。

だから精一杯の波状攻撃で、ほんの少しの取引先を奪える程度である。

しかし守るときは、さらに難しい。

他社はピンポイントで取り返しにくる。

まともなら勝ち目がないのだから、取ったところを取り返すだけなら、簡単に取り返される。

できるだけ守備の手は打ったのだが、うちの規模でできる防御策など、他社からすれば障子一枚程度のものである。

守りに関して、私ができることはもうない。

お手上げである。


何事もそうだが、攻めるより守る方が難しい。

営業の仕事もそうである。

営業の仕事はもう10年目になるが、つくづくそう思う。

攻めるときは、往々にして失うものがない。

だから勢いに任せて突っ走ればいい。

守るときは、その勢いを正面から受けることになる。

しかも、どこをどう攻められるかは、想像することしかできない。

いわばサッカーのPKのようなものである。

だから手っ取り早く守る方法は、ゴールキーパーの数を増やすことである。

金が使えるなら、ゴールそのものに蓋をするような強引なやり方もある。


まぁ、取られたら、また取り返せばいいのである。

少し時間を置いて、相手の守備が緩むのを待てばいい。

年がら年中、集中して守っていることなんてできない。

人間だからミスもある。

隙を見逃さないように、監視の網を張っておくこと、情報収集しておくことが大切である。

それにこのマーケットにはまだパイがたくさんある。

攻める場所は他にもあるし、二の丸で火が上がれば、本丸の守備が手薄になることもあるだろう。

これは攻めるときにも守るときにも大切なことだが、時間をかけることを厭わないことだ。

もちろん、動くときは素早い方が望ましいのだが、ダメだからと完全に諦めてしまうのでなく、2年、3年後にまたチャンスがあると思うなら、2年、3年待つことである。

仕事を短期的な視点でばかり考えていると、長い目で見たときに損をすることも多い。

先々まで考えて、先手先手を取ること、布石を置いておくことも大切である。

あと、守ることに関してであれば、私は一定程度までわざと攻めさせることがある。

アリの穴まで潰そうと鉄壁の守備を敷くことは、コストがかかって効率が悪い。

害のない範囲であれば攻めさせればいい。

相手に頭が足りなければ、ちょっと攻めたことに満足して、攻め手が緩むことがある。

ポイントだけ押さえて譲らなければいい。


ビジネスの世界、特に営業の仕事なんてのは、取った取られた、切った張ったの世界である。

飯を食っていくため、生きていくためには、手緩いことばかりはしていられない。

昨年はコスト削減が厳しくて守備的シフトを敷いていたが、今年は「好きにやってよし」の指示が出た。

久しぶりに思い切って攻められる。

苦しい状況なら、より激しく攻めて、取られた分以上に取り返せばいい。

まだまだ第1クォーター。

巻き返す策も、まだ動き始めたばかりである。