異呆人

毒にも薬にもならない呟き

運も実力のうち

最寄り駅のショッピングビルで、抽選会のイベントを開催していた。

ちょうど結婚のご祝儀をいただいた人たちに内祝いを送るタイミングで大量のお菓子を買ったので、抽選会のクジ引きを引くのに必要なポイントカードが急速に貯まっていった。

クジが一気に4回引けるようになった。

ショッピングビルの最上階で開催されている抽選会の会場に妻と向かった。

 

あの「ガラガラガラ」と音を立てて回る奴があるかと思ったのだが、まさかのタブレットだった。

タブレットに表示される9つの印のいずれかをタッチすると、抽選結果が表示されるらしい。

電子版スクラッチみたいなものである。

ちょっと「ガラガラ」を楽しみにしていたのでがっかりした。

IT化の進展も考えものである。

 

クジはすべて妻にやってもらった。

私のクジ運は異常に悪い。

これはもう本当に、悪いとしか言いようがないくらい悪い。

まったく当たらない。

それどころか、ハズレは恐ろしい確率で引く。

小学生の頃、教室掃除の後のゴミ捨ての役を決めるのに、よくアミダクジをやっていたのだが、半分以上の確率で私はゴミ捨てに走ることになった。

 

またあるとき、何か気に入らないことがあってしょげていた私に、母が「プレゼントが来たわよ」と言って、戦隊モノの合体ロボを持って来た。

「小学◯年生」といったような雑誌に付いている懸賞ハガキを応募したものが当たったという話だった。

私は大変喜んだ。

合体ロボがもらえたこともそうだが、当選者の少ないプレゼントが自分に当たるという幸運そのものが嬉しかった。

しかし、すぐに真相が知れた。

そのプレゼントは弟に当たったものだったのだ。

弟はすでに別の機会にその合体ロボを買ってもらっており、同じものになるからと私に回って来たのだ。

そこでつかれた嘘の浅ましさに失望した。

ついでに、自分には「望外の幸運」などというものが巡って来ないだろうことを悟った。

 

ただ、私は自分が恵まれていない人間だとは思っていない。

むしろ私は、自分自身の能力に関しては他人より恵まれていると思う。

大抵のことは、世の中の平均点より上手にできる。

頭の回転も、運動能力も、容姿も、たぶん恵まれている。

おかげで楽に生きられた部分もある。

もちろん、だからこそ苦労する部分もあるのだが。

「運も実力のうち」と言うのなら、私はきっと運の無さをして、能力的にバランスが取れているのだと思う。

それはつまり、「天は味方しないから、自分で何とかしろ」ということでもある。

 

妻がクジ引きを引くのを(いや、このタブレットはクジ引きですらないか)、私は横で眺めていた。

何ら迷うことなくペタペタ画面をタッチしていく妻だったが、すべて「参加賞」だった。

参加賞は、ちょっと良いポケットティッシュだった。

保湿性に優れているらしいが、所詮ティッシュティッシュである。

後日、再びポイントが貯まって、もう2回クジを引くことになり、そのときは私がやってみたのだが、やはりポケットティッシュだった。

どうやら夫婦ともに運はないらしい。

運が実力なら、それは頭脳や身体能力のように遺伝するのだろうか。

だとしたら、私たちの子どもが少し可哀想だなと思った。