異呆人

毒にも薬にもならない呟き

動物のお医者さん

加計学園の問題で獣医学部の新設が取り沙汰されている。

疑惑を払拭するためか、安倍首相が「獣医学部新設を全国に広げていく」と言い出したのを、文科省が慌てて否定するような始末にもなっている。

本当に、あの安倍さんの発言をして、何かやましいことがあるのではないかと疑いたくなるほどの、無根拠な放言である。

私は仕事上、獣医師と関わることもあるが、現状でも獣医師は飽和気味だと感じる。

なぜあえて加計学園獣医学部を新設する必要があるのか理解に苦しむ。

そんな状況でも無理通ししようとするから、「広域的」とか何だとか無駄な修飾を施す必要に迫られるのである。

「近くにないから」と言わられば、まぁ確かにそうかと思えなくもない。

 

動物を飼育しない人には馴染みがないかもしれないが、街を車で走ったりすると、意外なほど動物病院があることに気付く。

眼医者くらいとだったら、比べても遜色ない数ではなかろうか。

そのたくさんある動物病院が軒並み盛況であれば構わないが、繁閑にはかなり差がある。

人間の内科よろしく、かなり待たされる人気の病院もあるが、どうやって飯を食っていっているのかわからないような、閑古鳥が鳴いている病院もある。

均せば決して不足しているとは言えない状況である。

 

この状況の何が問題かというと、獣医師が自由診療であることと関係している。

人間の診療報酬は点数制で、どんな治療をしたかによって、何点でいくらと相場が決まっている。

しかし動物病院は自由診療なので、どんな治療をしたときにいくらとるかは、獣医師の匙加減一つである。

阿漕な商売をしている輩も散見される。

ちょっと知識があれば一発で誤りだとわかるようなことを平気で言う輩もいる。

大体、こういうことをする動物病院は流行っていない。

というか、客が来ないから単価を上げて補おうとするのだろう。

さらに獣医師を増やせばどうなるかは明らかである。

 

岩盤規制に風穴を空けると息巻くのであれば、まずは動物病院の診療報酬を点数制にすればいい。

獣医学も進歩しているので、過去はいざ知らず今なら「スタンダード」を作れるはずである。

その上で「獣医師の数が足りない」という声が上がるなら、新設するなりして対処すればいい。

あまり増やすと、勤め先がなくて困る獣医師が出てくる。

ポスドクみたいな感じになる。

弁護士や医師もそうだが、資格職というのはなりたい人間の数に合わせて数を調整するのではない。

社会の需要に合わせて調整するのである。

そのための国家資格だ。

そう言えば、その辺りを勘違いしたような発言も、安倍さんはしていなかったっけか。

あれではしばらく火はおさまりそうにない。

ワイドショーやニュースも、ネタに事欠かずに助かることだろう。