異呆人

毒にも薬にもならない呟き

考えるときの癖

結婚式のムービー作りをしている。

プロフィールムービーだけ作るつもりだったが、意外と難しくなかったのでオープニングも作ることにした。
私のこういったソフトウェアを使う能力は、平凡に毛が生えた程度のものである。
しかし最近のソフトは優秀で、素人の力量を大きく見せてくれる。
ある程度、望み通りのものが出来上がったと言っていい。
 
ただ私は0からモノを作るのが苦手な人間である。
本来は出来上がったモノに手を加えてアレンジしたり、改善してより良くするようなことが得意である。
0を1にするのでなく、1を3とか4にするのが得意なタイプである。
だからムービーも妻が「こんなのがいい!」とアイデアさえ出してくれれば、それに沿うように作るだけなので楽なのだが、妻もぼんやりしたイメージしか持っておらず、ネットでサンプルとか探し出す有様なので、私が全体の構成から考えることになった。
まぁやってやれないことはない。
考えるのがめんどくさいだけである。
 
使う曲だけ決めていたので、その雰囲気に合わせて使う写真や流れを考える。
ぼんやりした「こんな感じ」という自分の中のイメージを、削り落としながら形にしていく。
「この写真とこの写真はテンポ良くつなげて見せたいな」とか、「この写真はサビで使いたいから、手前の写真との間に間を作って、そこで時間調整をしようかな」とか、少しずつ具体的な作業として実行していく。
作業しているときはPCと向き合っているのだが、考えるときは席を立って部屋をうろうろ歩き回っていた。
そのことに、妻に指摘されて気がついた。
 
私は思考しているとき、部屋の中をぐるぐる歩き回る癖がある。
自分の中では当たり前というか、あまり変な癖だと思っていなかったのだが、大学の卒業論文執筆のときに同級生から指摘された。
ゼミ室は広くて歩き回るのにちょうどいい。
ぐるぐる歩き回っていたら、「なんでうろうろしてるの?」と言われた。
「なんでも何も、考えてるからだよ」と言ったのだが、理解されなかった。
考えるときに歩き回るのは普通ではないらしい。
テレビや漫画で、名探偵が部屋の中を行ったら来たりしながら推理している光景を思い浮かべてもらいたい。
あんな感じである。
ただし普段からそうだが、私の歩くスピードはかなり速い。
考えているときもゆっくり歩くのではなく、せかせかせかせか行ったり来たりする。
傍目に見れば、鬱陶しいかもしれない。
 
いや別に歩かなくたっていい。
なんなら踊ってもいい。
ただ考えているときに、じっとしているのが苦手なのである。
さすがに仕事中にうろうろしていると鬱陶しいだろうから歩き回らないが、その代わりに手が忙しなく動いている。
手首をくるくる回して宙に円を描いていたり、タイピングをしないのにキーボードをカタカタ触ってみたり、とにかく何かしていないと思考が回転しないのである。
そういえば、喫茶店や居酒屋で話をするときも、つい手遊びをしてしまう。
無意識におしぼりを畳んだり開いたりを繰り返したり、飲みもしないのにストローでグラスの氷をつついたり。
これも人に指摘されるまで、自分がやっていることに気付かなかった。
あまり行儀の良いものではないので直したいのだが、無意識に出るものなので気付けばやっている。
せわしない性分のせいだろうか。
 
私のデスクには、「うなぎ天国」という名の手のひらサイズのビーズクッションが置いてある。
確か静岡のどこぞのサービスエリアで買った、鰻をモチーフにした謎のキャラクターである。
見かけたとき、脱力系の外見とちょうどいい大きさに惚れて買ってしまった。
彼が普段、どんな仕打ちを受けているかはご想像にお任せする。