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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

久しぶりの新人研修

今月から、職場の同じ部署に中途採用の新入社員が入ってきた。

私より2つ歳下の男性である。

うちの会社は社員50人くらいと小さいので、人を滅多に採用しない。

ましてや新卒採用などはしない。

私の部署(営業部)となると、採用自体が2年ぶりくらいではないだろうか。

新しい人が来るだけで、なんだか新鮮な心持ちがする。

 

ちなみにうちの会社は大手に買収されたベンチャーみたいな会社である。

資金の心配をしなくてよくなった代わりに、やたらと動きが遅い。

これは業界自体が成長途上にあれば致命的なことである。

いつも競合他社に比べて後手に回る。

おかげで10年近くやってきて、ようやく黒字になったと喜んでいる有様である。

だから追加で人を雇う余裕ができたというわけなのだが。

昔は出資元の親会社からの出向社員と、近接業界から引っ張ってきた人材ばかりだった。

私が入社したのは、今の会社が自前で社員を採用し始めたとき。

いわば1期生みたいなものである。

 

さておき、この新人さんの研修を後輩が任されることになった。

その後輩自身の成長のため、と言われている。

確かに後輩も入社してもう2年半くらいになるので、会社や商品や業界についてのイロハは教えることができるはずである。

というか、教えられるくらいであってほしい。

「成長のため」というのは、そういうことだろう。

私は基本的に出張が多くて社内にほとんどいないので、その後輩が入社したときの研修なども担ったことはない。

「朱天は業務優先」と言われてきた。

ところが今回、「1日だけ研修をお願いしたい」と上司から言われた。

内容は「事務作業について」である。

 

syuten0416.hatenablog.com

以前のお題記事でこんなことを書いていたが、私にとってはこのとき以来、かなり久しぶりの新人研修になる。

しかし、なぜあえて「事務作業について」だけなのか。

それなら誰が教えても良さそうなものである。

「資料を作りますか?」と聞いたら、「いや、そこまで仕事の時間を削らなくていいから。業務優先でいいよ」と言われた。

よくわからない。

新人研修だって、立派な業務だと思うのだが。

 

そんな話を妻にしたら、妻の職場にも中途採用の新入社員が入ってきたという話になった。

そして「その新人さんの研修係がAさんだったんだけど、Aさんが初日に休んじゃって代わりにBさんが研修したら、翌日Aさんが教えたときに『Bさんからはこう聞いたんですけど』みたいなのがいっぱい出てきた」という話を聞かされた。

なるほど、確かにありそうな話である。

仕事のやり方は人それぞれだったりする。

もちろんルールとして決まっていることもあるのだが、「実務上はこうやってます」みたいな不文律があったりもするものである。

テクニック的なこととか心構えみたいなものとかは、正しいとか正しくないとかでなく、ほとんど個性だと言える。

 

と、その話を聞いたとき、なるほど私が「事務作業」の研修だけを任された理由はこれかもしれないと思った。

うちの会社にとって、「事務作業」こそ正解があるのに人によってやり方が違ってしまうかもしれないものだからである。

商品の内容や業界についての説明などは、営業であれば誰でもできる。

商品の内容については習熟度に違いこそあれ、難しい話は新人研修のレベルではしないだろうから、人によって差は出ないはずである。

業界についての話や営業スキルについての話は、そもそも人によって違うものだ。

だからまず後輩のそれを伝えるのも一つだろう。

 

しかし事務作業については明確な正解があるのに、営業の人間は軽視していて完璧にはこなせない。

それどころか間違って覚えていることもある。

というか、そもそもマニュアルみたいなものがない。

口述で伝えるから、伝言ゲームみたいに少しずつズレていったりもする。

たぶんその事務作業マニュアルの「原型」を、一番よく覚えているのは私なのだろう。

だから「事務作業について」だけ教えることを頼まれたのだと推測できる。

どうせみんな、何かわからないことがあったら私に聞いてくる。

「だったら最初から正しいやり方を聞いておけ」ということだろう。

 

そして実際に研修となった。

研修の直前に「やっぱりアレも教えて、あとコレも」みたいな感じで内容が増えたことと、「1を聞いたら10返ってくる」と言われる私のくどい話のせいで、大幅に時間をオーバーしてしまった。

それでも嫌がらず新人さんは熱心にメモを取っていて、真面目だなぁと感心した。

特に大切なところには、より深く傾聴の姿勢を示していて、その素直さに好感が持てた。

飲み込みが早いタイプではなさそうだったが、努力というのはいずれセンスを凌駕するものである。

これから一緒に仕事をしていくのが楽しみだと言える。

 

それはそれとして、やはり教えるときにマニュアルがないと不便だよなと思った。

なので仕事の空いた時間を見つけて、自主的に事務関係のマニュアルを作成している。

事務関係以外にも、最近は「ノウハウをシェアしてほしい」という他の社員の要望に応えて、研修資料などを作成している。

口ではこれまでも伝えてきたのだが、それはそれとして「いつでも誰でも見れるかたち」にすることも大切だなと思わされる今日この頃である。