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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

ランニング備忘録 〜2017.4.29いしおかトレイルラン〜

先日、初トレイルランに挑戦してきた。

今年やりたいことのうちの一つである。

競馬でいえば、ダート変わりか。

ただしパワータイプでない私の場合、トレイルランが向いているとは思えない。

タイムや順位云々より、澄んだ空気と緑を楽しみながら走るのが目的である。

選んだレースは、茨城県は石岡のトレイルラン。

日帰りで行ける距離で、運営もしっかりしてそうだというのが選んだ理由である。

そのためにトレイルシューズも購入していた。

御徒町のアートスポーツまで出向いて調達した、赤地に黒のラインが入ったトレイルシューズである。

セール品でサイズが一つしか残ってなかったのだが、それが私にぴったりのサイズで、大好きな赤色だった。

もはや運命と言うより他ない。

かくして準備万端、いざ出陣、となった。

 

当日は朝5時発の電車に乗って、つくば駅へ。

大会会場は山の方なので駅から離れているが、事前に申し込んでいれば、つくば駅石岡駅から有料送迎バスに乗れる。

バスの時間が決まっているため遅れるわけにはいかない。

7時前には駅に着き、7時半発のバスに余裕を持って間に合わせた。

天気は快晴、やや暑いが風はひんやりしており、コンディションは良好と言えるだろう。

1便しかないバスはかなり早く会場に着くようになっており、10時からのスタートだったが8時くらいには会場に着いた。

ちなみに私が今回出場した距離は、ロングの部(26.2km)である。

それより長いスーパーロングという50km以上走る距離があるのだが、今の私の走力では及ばないのが明らかだし、スーパーロングはスタート時間が早くて電車だと物理的に間に合わなかったので諦めた。

 

スタートまで、だらだらスマホをいじりながら過ごす。

レース序盤をウォーミングアップ代わりにするつもりだったので、身体を動かす必要はない。

むしろ今の私のレベルからすれば、体力を温存するのが得策である。

装備は長袖のTシャツにロングタイツ、ランニング用の小型リュックにパン1つとスマホポカリスエット1本というものである。

シリアスランナーからすれば少し重装備だが、普通に走る分には大した重さではない。

荷物を預け、9時半からの開会式を眺め、少し暑さが身に染みるようになった時間に、ようやくスタートとなった。

 

出だしは少し飛ばして、前の方に出た。

早めに集団から抜け出して、自分のペースで走るためである。

小規模な大会なので、平地の走力で言えば実力は上の方かもしれない。

凄まじいスピードで走る先頭が見える位置でペースを作った。

少し息が上がるくらいのペースで走っていたのだが、わりと早い段階で後悔することになる。

舗装地を抜けて山道に入ると、いきなり強烈な登り坂が待ち受けていたからである。

距離にしてスタートから1〜2kmくらいだと思われるが、早速歩いてしまった。

私の見える範囲のランナーも、皆歩いていた。

初めてなのでわからないが、そういうものなのかもしれない。

少なくとも、26.2kmという長丁場を考えたとき、ここを駆け抜けるという選択肢はない。

いや、距離が短くたって、これだけの勾配は走って登れないかもしれない。

先頭付近のランナーはこの激坂でも走れるのだろうか。

汗で半ば前が見えなくなりながら、そんなことを考えた。

 

早足で歩きながらしばらく登ると、なんとか登りきったようだった。

そこには「3km」という看板が置かれていた。

序盤も序盤、けっこう絶望する感じである。

しかし、そこから今度は下り始める。

これが爽快。

森の中を駆け回る感覚。

ターザンだか、忍者だか、になったような気分である。

疲れた足も休ませられ、息も整えられる。

木陰は澄んでひんやりした空気が心地良く、ひとときの癒しを感じることができた。

 

そしてしばらくすると、また序盤と同じような登り坂に遭遇する。

それからまた、心地良い下り坂を疾走する。

コース全般はそんなことの繰り返しである。

言葉で表現するのが難しいが、コースが単調ではないので距離がまったく苦にならない。

というか正確には、どれだけ走ったのかがほとんどわからない。

体内時計が正確な私は走行時間は大体わかるが、ペースが当てにならないトレイルにおいては、どれだけの距離を走ったかがわからないのである。

まぁ、そんなことも気にならないが。

目の前のコースと対峙する、ただそれだけなのである。

あと、トレイル特有だなと思ったのは、追い越しが容易にできないことである。

道が細くて、すれ違いが困難な場所がたくさんある。

大体は抜かれるランナーが譲ってくれるのだが、そんなスペースのない場所や、前のランナーとのペース差が大きくない場合は、抜く側がしばらくペースを緩めなければならない。

走るときはリズムを大事にする私にとっては、そこが結構苦痛だったりした。

そしてこのトレイル特有の事情とマイペースな私の習性が、終盤に最悪の事態を引き起こすことになる。

 

特にこの「いしおかトレイルラン」は、一部コースが往復になっており、また先にスーパーロングのランナーがスタートしているため、遅いランナーを抜くことが多かった。

中盤以降は自分のペース作りができて気持ち良く走れていたのだが、同時に前のランナーを追い抜く場面も増えていた。

下りなら譲ってもらえればすんなり追い抜けるので問題ないが、登りだと少し難しかったりする。

そもそもペース差があまりないし、抜かれるランナーも疲労している状況なので譲ってもらいにくい。

かといって、だらだら登ると私は余計に疲労を感じてしまう。

途中、登り坂でギアを上げて追い抜いた瞬間、左のふくらはぎが攣りかけた。

体力的には多少余裕があるが、足はパンパンでほぼ限界のようだった。

ここで安全策をとっていれば良かったのだが、調子に乗ったのが運の尽きだった。

 

20kmを過ぎたあたりで、何度目かの、いや最凶クラスの登り坂が出現した。

皆、列をなして歩きながら登っている。

さながら地獄へ向かう死者の列のように足取りが重い。

ここまで走ってきてこの仕打ちなのだから無理もないのだが。

私も疲労が極限だったが、だらだら歩くと心肺にも筋力にも余計に負荷がかかる。

リズム良く登りながら、途中、遅いランナーを抜こうと加速した瞬間だった。

右のふくらはぎが攣った。

攣りかけで堪えられず、完全にこむら返った。

そしてバランスを崩したときに、次は左の太ももが攣った。

こうなると、立っていられない。

普通は地面に崩れ落ちるのだが、そこは急激な登り坂である。

踏ん張れず、滑り落ちる。

手で地面を掴んでなんとか止まったものの、足の痙攣がどうにもならない。

そばを通った親切なおじさんが足を伸ばしてくれた。

地獄に仏とはこのことか。

残念ながら、おじさんの顔を覚える余裕はまったくなかったが。

 

他のランナーの邪魔になりながらも、しばらくその場で休んだ。

その後、動けるようにはなったが、かなり激しく攣ったので、再度走り出すとまた攣るような状態だった。

残りの行程は歩くしかない。

だが、これも思うようにはいかない。

今にも攣りそうな足を庇いながら歩くのだが、後ろからランナーが来るたびに道を譲らなければならない。

まったく先に進めない。

体力的には問題なく、歩く分には余裕があるだけに、なんとももどかしい感じである。

しまいには腹が減ってきたので、暢気にカバンの中に潜ませたパンを齧りながら歩く始末である。

 

かくして、初めてのトレイルランはほろ苦い感じで幕を閉じた。

3時間切れるくらいのペースで走っていたのが、4時間近くかかってしまった。

まぁ、これもいい勉強と考えるべきなのだろう。

次はペースメイクも上手くできるだろうし、そうすれば道のりをもっと楽しむこともできるだろう。

今回も楽しかったが。

今年のうちに、できればもう1回くらいはトレイルレースに出てみたい。

 

ちなみに、この「いしおかトレイルラン」、レース後には無料の豚汁が振る舞われ、イチゴが食べ放題というオマケ付きである。

お腹を下しそうで、食べ放題の有り難みはあまり感じなかったが、イチゴは甘くて美味しかった。

参加賞は「地元野菜セット」とやらを選んだのだが、ダンボールいっぱいの野菜の詰め合わせで嬉しかった。

もう一つの参加賞、オリジナルバッグよりは実用的だと思われる。

ただ例のごとく、忘れ物魔の私は、この野菜セットを帰りの電車の網棚に置き忘れてしまった。

網棚は、私にとってはバミューダトライアングルと同じである。

わかっていて置いたのは電車が混雑していたからで、それ自体が悪いことだとは思わないが。

「これだけ散々新しい体験をして、最後がこのオチかよ」と、自分にツッコマざるを得ない。

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