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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

あぁ、青春の日々よ

今週のお題「部活動」

 

部活動は、中学から大学までずっと陸上部に入っていた。

正確には陸上競技部、専門種目は長距離である。

陸上の長距離なんぞやっていると言うと、かなりの確率でマゾヒストだとか言われる。

「何が楽しくて走っているのか?」という質問もよく受ける。

マゾヒストではないと思うし、楽しくて走っているわけでもない。

「なぜ走るのか」については、陸上の長距離をやっている限りは必ず向き合わなければならない命題だと思うし、長いこと考えた結果、自分なりの回答は得ている。

たぶん私は、「自分がこれ以上ないくらい一生懸命やった」という感触を得ることが嬉しいのだ。

これが技術が必要なスポーツになると、思う通りに身体が動かせないことがフラストレーションになったりする。

自分が本当にベストなパフォーマンスを発揮できたのかわからない。

走ることにおいては、息が切れて足が動かなくなれば、とりあえずは全力を尽くしたことになる。

特に長距離走においては、その傾向が顕著である。

あとは、負けても「自己ベスト」という明確な達成度の基準があるのも嬉しい。

「何分何秒早くなった」という事実は、それ以上でも以下でもない厳然たるものである。

自分の努力の成果と成長を感じることができる。

 

などと御託を並べてみたが、こんなものはほとんどすべて後付けである。

スポーツなどの身体を使ってプレーするものは、感覚で得られるものを言語化することにほとんど意味はないと思う。

やったらわかる。

やってわからないなら、どれだけ言葉を尽くしたってわからない。

そんなものである。

ちなみに私はこれだけ言っておきながら、とてもネガティブな感じで「陸上の長距離」という選択肢を選んでいる。

そもそも私がスポーツをやろうと思ったのは、親から「中学に入ったら、何か運動部に入りなさい」と言われていたからである。

それを真面目に鵜呑みにしただけだった。

 

その中で陸上競技を選んだのは、個人競技だったからである。

本当はテニスをしたかったのだが、通った中学校にテニス部がなかった。

私は小学校の頃は地域のソフトボールチームに所属していたのだが、そのときにチームプレーの大変さを嫌というほど感じた。

あの連帯責任感が嫌だ。

自分のミスの責任は自分で引き受けたい。

自分のミスでチームが負けることになったりしたら、やり切れない気持ちになる。

それで個人競技を検討したのだが、通った中学校にあった部活動の中で該当するものは、陸上と水泳と柔道だけだった。

私は泳げなかったし、ひょろ長くて柔道に向かないのは一目瞭然である。

それで陸上を選んだのだ。

つまり単なる消去法の結果だと言える。

その中で長距離を選んだのも、他の種目より比較優位があったからである。

やりたいことより得意なことを選んだだけである。

むしろ個人的には、短距離の方に憧れがある。

 

さてそんな感じで選んだものだから、中学時代の部活動はとても苦痛だった。

練習はしんどい。

しかも比較優位があるとはいえ、所詮、井の中の蛙である。

どれだけ練習しても、大会ではまず勝てない。

部としてのまとまりも悪く、顧問がいなければ他の部員は砲丸投げの球でボーリングをしたり、平気でサボりまくっていた。

3年生のときは主将も務めたが、まとめようと思っても舐められてまったくうまくいかず、凄まじいストレスを感じた記憶しかない。

黒歴史とは言わないが、できれば思い出したくいない記憶である。

 

だから、始めてしまったから続けたものの、陸上競技はすっかり嫌いになっていた。

自分のポテンシャルの限界も簡単に見えてしまっていた。

高校に入ったら、何か違うスポーツをしようと思っていた。

そう、中学のときに諦めざるを得なかったテニスなんか良いかなと思って、見学に行ったりした。

しかし高校のテニス部はあまり雰囲気が良くなかった。

入部希望者が多く、ふるいにかけるために「しごき」のようなことをしていた。

体力はあるので「しごき」に耐える自信はあるが、そもそも私はそういうギスギスした雰囲気が好きではない。

どうしたものかと悩んでいると、同じ中学で同じ陸上部だった友人から、陸上部に見学に来ることを勧められた。

私は、最初は固辞した。

いや本当に、それくらい嫌いになっていたのである。

しかし「すごく良い部活だから」と熱心に勧誘されるのに負けて、「見学だけなら」と行ってみることにした。

 

そして見学して、友人の言っていることが理解できた。

確かにすごく雰囲気が良い。

アットホームだが馴れ合いではなく、温かい雰囲気の中で皆が真剣に競技に取り組んでいるのが感じられた。

特に先輩方の人柄が良く、話も面白く、理想郷だと感じたほどである。

それでも陸上競技に対する自分自身の限界を感じていたので、新しいスポーツに挑戦してみたいという思いも強かった。

迷った私は、友人に立会いを頼み、コイントスをすることにした。

表が出たらテニス部に入り、裏が出たら陸上部に入る。

もちろん、やり直しはしない。

当時、漫画「HUNTER x HUNTER」の幻影旅団の話のところで、「揉めたらコインで」というシーンがあったことを見て思いついたのだ。

結果は裏が出て、陸上部に入ることになった。

今考えても、よくまぁそんな方法で選んだものだと思う。

 

そんな経緯があったから、部活動はとても楽しかった。

陸上競技は相変わらずあまり好きではなかったが、この部にいる人たちとなら頑張れると思った。

いつぞやトラブルがあったとき、皆が一人ずつ「なぜ陸上部に入ったのか」を顧問に答えさせられたことがあった。

皆、「陸上がやりたいから、好きだから」と答えていたのだが、私は「陸上部が好きだから」と答えた。

それは「名答」として後々語られることになるのだが、私にとってはウケを狙った回答ではなく、単なる本心だった。

改めて思い返すと小っ恥ずかしい回答であるが、あの頃は本気でそう思っていたのだ。

私は「部活動」というと、今でもあの時の自分の答えを思い出す。

そして小っ恥ずかしいと思いながら、しかしそれこそ青春ではないかと思うのである。

 

ちなみに当時の先輩や同期の仲間とは、今でもずっと交流を続けている。

大げさな言い方ではなく、部活動を通じて得られた友人関係というのは、私にとって貴重な財産になっている。

だから、もし自分に子供ができたとしたら、中学に入ったら何か部活動をするように勧めるだろう。

別にスポーツでなくてもいい。

特別好きなものが見つからなくてもいい。

本当に嫌なら、辞めればいいだけの話である。

でも、飛び込んでみなければ得られない何かもあると思うのだ。

こんな感じでいい加減なきっかけで始めた私でさえ、大きなものを得ているのだから。