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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

スタバとドトールは比べられるか?

スタバがドトールに負けた3つの理由 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

スターバックスが顧客満足度でドトールに敗北 『スタイリッシュ疲れ』が要因か|ニフティニュース

スターバックスコーヒーはドトールに負けたのか?「顧客満足度」の不都合な真実(本田康博 証券アナリスト) : シェアーズカフェ・オンライン

 

ドトールよりスタバの方が人気があるという調査結果が出ているらしい。

上2つの記事が、その調査結果に関してスタバが負けた理由を考察している。

下の記事は、「いやいや調査手法そのものに疑問がありますよ」という反論記事。

まぁ別にどうでもいいことではあるのだが、私はそもそもスタバとドトールを比較することに無理があると思う。

それはちょうど読み終わった「ストーリーとしての競争戦略」に、スタバの事例が載っていたからでもある。

この戦略の視点で考えれば、ドトールとスタバを比較することは、吉野家すき家を比較するようにはいかない。

そもそもコンセプトが違うため、客層がまったく異なる。

ドトールに行こうかスタバに行こうか迷った結果どちらかを選ぶというのは、まずもって何をしにカフェに行くのかということが大きく影響する。

 

「ストーリーとしての競争戦略」(長いから以下「スト競」)では、スタバのコンセプトは「サードプレイス(第3の居場所)」であると記されている。

これはスタバが自ら打ち出しているので間違いない。

職場でもなく自宅でもなくリラックスしながらコーヒーを飲める場所を提供する、ということである。

つまり極論を言えば、スタバはコーヒーを提供しているのではなく、場所を提供していると言える。

だからwi-fiや充電用のコンセントを他社に先駆けて導入したし、座席間隔は広いし、ゆったり落ち着いた雰囲気なのである。

「長居してください」と言っているのである。

 

接客に力を入れているのも、コーヒーが出てくるのが遅いのも、禁煙なのも、食べ物がほとんどないのも、コーヒーの値段が高いのも、すべてそのコンセプトに集約するように作られた戦略である。

待ち時間にちょっとだけコーヒーを飲みたい人や、喫煙者や、ちょっと軽食を食べたい人を、わざと最初から排除しているのである。

コーヒーの値段が高いのは客の回転率が悪いからで、それは昔ながらの純喫茶だって同じではないか。

上島珈琲やコメダなどはコーヒー1杯500円ほどするが、そのほとんどは場所代だと言える。

スタバをして「食事がしょぼい」、「値段が高い」などと言う人は、心配しなくても最初からスタバのターゲットに入っていない。

無理に利用しなくていいのである。

 

「スト競」によると、スタバが都心を中心に店舗展開したのも、どんなシチュエーションで客が店を利用するか考えた結果だという。

スタバが想定しているのは、「遅くまでハードワークするビジネスマンが、仕事の合間に少しだけリラックスするのに立ち寄る」というようなものである。

だから「郊外のスタバ」というのは、当初のコンセプトにはそぐわない。

今はサービスがコモディティ化して、どこにでも立地するようになってしまっているが。

鳥取などの地方にスタバがなかなか出店しなかったのも、失礼ながら上記のような顧客の層が少ないと想定されていたからだろう。

 

逆にドトールのターゲットは「隙間時間にちょっとコーヒーを飲みたい人」だと推察される。

「次のアポまでの15分だけ」とか、「待ち合わせ場所に早く着いたので20分だけ」とか、そういう人たちが利用するのである。

だから席間は狭いし、ちょっとの時間でお腹を満たせるように軽食は充実しているし、コーヒーの値段が安いのである。

私もそういった目的でカフェを利用することが多いので、ドトールの方がよく利用する。

安いし、居心地とか気にしないし、その気になれば長居できるし。

この戦略という観点で見れば、スタバとドトールは本来は競合しない。

だから人気や満足度でドトールを支持する人の方が多いのだとしたら、それは「隙間時間にコーヒーを飲みたい人」の方が「ゆっくりリラックスしてコーヒーを飲みたい人」より数が多いというだけに過ぎない。

 

あえて言うなら、スタバが競合するとしたら昔ながらの純喫茶の方だろう。

居場所を提供するという観点から考えればそうなる。

上島珈琲もそうかもしれない。

コメダはどちらかというと郊外型の店舗が多く、「昼間に連れ合って駄弁りたいご婦人たち」や「時間だけはたくさんある仕事を引退したご老人」が利用しているイメージがある。

ドトールが競合するとしたら、マクドナルドなどのコーヒーに力を入れているファストフードやコンビニコーヒーである。

マックのコーヒーなら100円だし、場所も提供してくれる。

ただコーヒーを飲むだけならコンビニコーヒーの方が安いし、値段の割には結構美味しい。

 

ドトールの方が戦っている土俵がしんどいと思う。

だからか、最近は「白ドトール」なるものを展開している。

スタバが上手くいっているので、隣の芝が青く見えたのかもしれない。

しかしスタバのコンセプトが成功するのは、すべての戦略がそのコンセプトに集約するように作られているからである。

また他社が真似したがらないけど、それが戦略の核となるような「キラーパス」が存在するからである。

この辺りは「スト競」に詳しいし、書くと長くなるので割愛する。

たぶん白ドトールは思うような成果は上げられない。

スタバから顧客を奪取するようなことにはならないだろう。

ドトールでは顧客のニーズ(ちょっと間コーヒーを飲みたいのか、ゆっくりしたいのか)によって座席を分けたり、分煙にしたりしているらしいが、往々にしてそういう「良いとこ取り」は上手くいかないものである。

 

もっと極論を言ってしまえば、人気や満足度が低かろうと利益が出ていれば問題ないのである。

企業が自社の商品やサービスの人気や満足度を気にしなければいけないのは、それが最終的に収益の低下につながるからである。

つまりスタバにしろドトールにしろ、それぞれの店が良いと思って来店する客がいる限り、その客数(売上)と企業の規模のバランスが取れている限り、人気や満足度が高いか低いか、客数(売上)が多いか少ないかは大した問題でないと言える。

だからこそコンセプトは尖らせる必要があるし、戦略が重要になるのである。