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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

卒業式はいつもより派手に

お題

今週のお題「卒業」

 

なんかこのお題、去年もあった気がする。

MTGからの卒業 - 異呆人

まぁ時期ものだし、繰り返し使うことが悪いことだとは言わないが、「はてな」ももう少し工夫してほしいものである。

さて、昨年は当時までプレイしていたカードゲーム、「Magic the gathering」をやめたという話を書いた。

今年は普通に卒業式の話でも書こうかと思ったが、卒業式の思い出というものがほとんどない。

なんというか、昔からそういう節目に必要以上の感慨を感じない人間なのである。

小学校の時は、卒業式が終わったら記念撮影などせずにさっさと家に帰って、同級生や教師の不興を買った。

だって卒業するということは、もう学校に来なくていいということなのである。

これほど嬉しいことがあろうか。

一刻も早く学校を離れたいと思うのが普通だと思う。

 

中学校の時は、記念写真を撮るために近くの公園に向かう生徒の群れに混じってみたが、結局一枚の写真を撮ることもなく早々に場を後にした。

高校の時もあまり覚えていないが、同じような感じだったと思う。

大学の時もあまり覚えていないが、同じような感じだったと思う。

というか、本当によく覚えていない。

きっと私にとって、卒業式というのは特別なものではなかったのだと思う。

それは確かに節目ではあるが、別に人生の終わりではない。

そこからさらに人生は続く、一つの終わりが一つの始まりになってしまうのである。

 

高校の時のことで覚えているのは、私が遠方の大学に行くことになるからと、大勢が携帯のメールアドレス交換を申し出てきたことである。

当時はまだJ-Phoneが存在していて、カメラ付き携帯が出始めて流行りを見せていた頃だった。

私は携帯など持っていなかったし、必要だとも思わなかったが、さすがに飛行機でないと実家に帰れない土地に行くのに、電話もなしというわけにはいかない。

卒業前の数週間だけ日雇いのバイトをして、なんとか携帯を手に入れたのだった。

その慣れない携帯で、友人たちと初々しくアドレス交換したことは懐かしい思い出である。

 

大学の時は、空港への見送りが印象に残っている。

南国から新卒後の赴任地の雪国へ旅立つことになっていた。

空港には部活の後輩たちとゼミ仲間が大勢見送りに来てくれていた。

手荷物検査のゲートをくぐる時、後輩に名前を呼ばれて振り返ると、いつそんなものを準備したのか横断幕を掲げていた。

そこには「今までお世話になりました。社会人になっても走り続けてください。雪をも融かす炎のランナー」と書かれていた。

かなり恥ずかしい。

恥ずかしいが、嬉しかったことはよく覚えている。

 

そんな思い出くらいしかないのだが、それよりもはっきり覚えている他人の卒業式がある。

それは大学の2つ歳上の先輩の卒業式のことである。

ちょっと変わった先輩というか、悪い人ではないのだがクセがあって周りから敬遠されていた先輩がいた。

面倒見のいい人で、皆お世話になっているのだが、どうにも空気が読めないというか、場を凍りつかせるようなことを平気でする人なのである。

その先輩が何を思ったか、「卒業式の後、コーラかけをやりたい」と申し出てきた。

やるならビールかけだろう、野球の優勝チームがやるみたいに。

ただ私たちの部活は体育会系のくせに、それほど酒好きがいないという珍しい集団だった。

ゆえにコーラかけという発想になったと思われる。

あとはその先輩がコーラが好きだったこともあるかもしれない。

コーラをかけ合うなど、想像しただけで凄惨な事態が引き起こされる。

しかし悪ノリOKの当時の私は、その要望を快く引き受けた。

それどころか、準備したコーラの中に、しれっと「ルートビア」を混ぜたのである。

 

ルートビア | A&W沖縄

ルートビアとは、沖縄にあるファストフードチェーン「A&W」(現地の人は「エンダー」と言う)で売られている炭酸清涼飲料水である。

A&W」の店内だけでなく、「A&W」のロゴが入った缶が普通にスーパーで売られている。

沖縄であれば、安価で容易に入手できる。

このルートビアの最大の特徴は、その香りにある。

ハーブの香りと言えば聞こえがいいが、私は最初に飲んだとき「ハッカ」を連想した。

あのサクマドロップに入っている白いドロップと同じ味である。

いや、味というか、香りがきつすぎて味がわからない。

上で引っ張った「A&W」のHPでは、「毎日おかわりフリー」と書かれているが、これをおかわりする人間の気がしれない。

アンサイクロペディアでは、「飲むサロンパス」と表現されているが、なるほど言い得て妙である。

 

悪ノリした私は、これを2本ばかりコーラの缶の中に混ぜた。

缶を見ればすぐにわかるのだが、コーラかけをするテンションの人間がそこで思いとどまるわけはないだろう。

そう踏んでの暴挙である。

当日、卒業式を終えて体育館から出てきた先輩を、私たちは迎えた。

まずはコーラかけの準備ということで、汚れてもいいジャージに着替えていた。

そのままの勢いでスーツで実行しないあたりは、この先輩らしく用意周到である。

そして着替え終えたあと、コーラかけが実行される。

私はコーラを手にしたものの、少し離れた場所に陣取って様子を眺めることにした。

威勢の良い掛け声と同時に、一斉にコーラをかけ合う先輩と後輩たち。

そして広がるコーラの甘い香りと、それを遥かに凌駕するルートビアの爽やかな湿布臭。

「誰だ!ルートビアを混ぜた奴は!」という怒声が響き渡る。

 

いや、ほんと、すいません。

盛り上がると思ったんですよ。

やっぱり卒業式だから、いつもより派手にいきたいじゃないですか。

コーラがけとか、ヌルいと思うんですよ。

やっぱり、ルートビアくらい、いっておかないと。

いやでも、ほんと、すいません。

この場を借りて、お詫び申し上げます。