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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

「この」アプリ:其の二 〜ぬこしょうぎ〜

ゲーム

最早すでに忘れ去られそうな不定期企画だが、たまには気楽な内容もいいかなと第2回を執筆。


さて、ATBというものをご存知だろうか?

アルファベットの頭文字だけではいろいろ該当するものがあるかもしれないが、この記事はゲーム記事である。

ゲームの世界でATBと言えば、アクティブ・タイム・バトル、旧スクウェアが開発したターン制を覆す画期的な戦闘システムを指す。

ウィキペディアさんによると、初採用はファイナルファンタジー4(FF4)だったらしい。

余談だが、私は小学生時代に一大ムーブメントを巻き起こしたFF7世代であり、RPGといえばドラクエよりFFという人間である。

だからFF4はPSに移植されてからプレイしたクチである。


それまでのRPGにおける戦闘といえば、ドラクエのようなターン制が主流だった。

これは1ターンに1回、各キャラが行動する仕組みである。

素早さの差で行動する順番は変われど、各キャラが行動する回数は変わらない。

対してATBでは各キャラの素早さに応じてゲージが溜まり、溜まり次第行動できる。

行動したら即、またゲージが溜まり始めるので、1戦闘において素早さの高いキャラは他のキャラより多く行動できる。

これは敵にも適用されるので、素早さの高い敵は攻撃頻度が上がる。

またATBには行動選択において、アクティブとウェイトを選べるシリーズもある。

アクティブにしていると、自分が行動選択する間も時間が流れ続ける。

「攻撃しようか、そろそろ回復しておこうか」などと悠長に考えていると、その間に敵にボコスカ殴られることになる。

RPGにスピード感と臨場感をもたらした画期的なシステムと言える。


このATBを将棋に採用したらどうなるだろう?

将棋といえば、言わずと知れたターン制バトルである。

お互いの手番に1枚ずつ駒を動かしていく。

これがそれぞれの駒の素早さに応じて、動かしたいだけ動かせたらどうなるだろう?

そんな願望(?)を実現させてしまったのが、今回紹介するゲーム「ぬこしょうぎ」である。

先に言っておくが、斬新過ぎる。

将棋という枠を超え、新たな境地を切り開いてしまった。

もはや将棋でもなんでもない。


「ぬこしょうぎ」では、「ぬこ」という猫っぽい駒を動かして戦う。

「ぬこ」の動かし方は、将棋の駒に準じている。

まず将棋と異なるのは、手番がなく好きなときに好きな駒を好きなだけ動かしていいことである。

飛車先の歩を突き、角道を開け、金を上げる、といった手を連続して繰り出せる。

「よーいドン」から凄く忙しい。

次に、それぞれの駒には待機時間が設定されている。

飛車先の歩はどんどん突いていけるわけではない。

ただし歩なら2秒程度、強い駒ほど長いが、飛角金銀でも5秒程度である。

のんびり構えてはいられない。

ちなみにこの待機時間は、対戦で得られるポイントで駒のレベルを上げることで、短くしていくことができる。


この結果もたらされる変化は尋常ではない。

歩が次々に前進し、銀がずんずん繰り上がり、桂馬はばんばん跳ねる。

将棋が王将のタマを取り合う戦争なら、「ぬこしょうぎ」ではまさに、敵味方入り乱れた戦場の様相を呈する。

文字通り、一瞬たりとも気を抜けない。

気付いたら王手がかかっていることは、よくある(王手がかかるとアラートが出る)。

せっかく作った竜や馬が、油断からあっさり討ち取られることもしばしばである。


何より、戦い方がまったく異なる。

定石や構えが通用しない。

まぁ、根本的なルールが異なるのだから当然なのだが。

例えば、「角道を開ける」という手。

将棋であれば、戦法によるが序盤に指される基本的な手である。

しかし「ぬこしょうぎ」の場合、先に角道を開けてしまうことは、用心しなければならない。

なぜなら角道を開けてそのままにしておくと、相手も角道を開けて、そのままノータイムで角を突進させてくることがあるからである。

思わぬタイミングでこの奇襲を食らうと、一瞬怯んで注意がそちらに向いてしまう。

その間に別方面の進撃を許すことになりかねない。

またそうやって奇襲で取った角を、ノータイムで打ち込まれることもある。

これで急所を突かれようものなら、ガタガタと陣形が崩壊する。


対戦は本当かどうかわからないが、対人戦ということになっている。

にしてはマッチングが早いので驚く。

対戦でレートを上げていくと、級や組が上がっていく仕組みである。

対戦以外に広告動画を見ることでも、駒のレベルを上げるポイントがもらえるので、勝てなくても駒を強くして勝ちやすくすることはできる。

アプリ自体は無料で、課金アイテムもあるが買う必要性は低い。

収益のメインは広告だろう。

よく考えたものである。


将棋とは別の意味で戦略性があり、なかなか面白い。

デメリットを挙げるとすれば、かなり疲れる。

対戦時間は数分程度なので短いが、その間、盤面全体に絶えず注意を払っておかなければならない。

進行が早いので、優勢劣勢もすぐに入れ替わる。

戦術を考える思考力も必要だが、それ以上に反射神経が求められるゲームである。

電車の中でちょっとプレイするには不向きかもしれない。

私も大してプレイしておらず、ダウンロードしたのはしばらく前だが、未だにB級2組である。


既存の将棋に飽きたなら、気分展開にプレイしてみてもいいかもしれない。

将棋が苦手でも、反射神経だけである程度勝てるかもしれないし。

ただそこには「将棋」の概念は残っていない。

新しいゲームを遊ぶつもりでプレイすることを推奨する。