異呆人

毒にも薬にもならない呟き

好きな色

「好きな色は何ですか?」などと聞かれることは人生でそれほど多くないが、聞かれたら「赤です」と即答している。

いやむしろ、私の持ち物などから「赤が好きなんですか?」と聞かれることの方が余程多い。

赤が好きだ。

だって、カッコいいじゃないか。

大学生の頃は上下真っ赤なジャージに下駄を履いて登校していた。

見た人が思わず凝視するいでたちである。

一時期は、時計も、鞄も、靴も赤かった。

赤いジャージを着ていたのは、赤が好きだったからと、陸上競技をしていたからで、下駄を履いていたのは下駄が好きだったからである。

そのまま教室の最前列に陣取り、興味のある授業の質疑応答では真面目に挙手して質問する、ちょっとアレな学生だった。

人目など露ほど気にせず、好きなことを好きなだけやっていた自分の中での全盛期である。

若さって怖いなぁと思う。

 

話が逸れたが、それくらい赤が好きなのだ。

この理由は今でも明確に覚えている。

それは、戦隊モノのリーダーが必ずレッドだからである。

リーダーがレッドになるのか、レッドだからリーダーなのか、最早よくわからない。

とにかく戦隊モノのリーダーは必ずレッドで、彼らは一番美味しいところをカッコよく持っていく。

子供心に強烈に「赤=カッコいい」を植え付けられたのである。

私が戦隊モノをテレビで見ていた頃は、ライブマンとか、ジェットマンとか、ターボレンジャーとかやっていた。

レンタルビデオでは、ゴレンジャーを借りて見ていた。

すべてリーダーはレッドである。

必殺技では散々パス回しをしておいて、最後にシュートを決めるのはレッドである。

合体ロボットの真ん中の操縦席もレッドである。

これで赤が好きにならないわけがない。

赤は私にとって憧れの色であった。

 

だからランドセルが、なぜ男子が黒で女子が赤なのか理解できなかった。

今は色を選べたりするようだが、当時はそんな選択権はなかった。

リーダーはレッドだが、必ず男である。

なぜランドセルは赤なのに女子のものなのか。

初めて自転車を買ってもらったときは、赤がいいとゴネた。

お金を出してくれた祖父母は「男が赤だなんて変だ」と言ったし、両親も同様の意見だったが、私が譲らなかったので何とか赤い自転車を手に入れることができた。

そう考えれば、ジェンダーの減った今の世の中は少しずつ暮らしやすくなっているのだと思う。

男が赤で何が悪い。

 

よく考えれば、カッコいいものには赤が多いように思う。

フェラーリは赤いし、シャア・アズナブルの専用機は赤いし、人類最強の請負人は赤い。

赤いからカッコいいし、カッコいいから赤を纏うことを許されるのだとも思う。

また、色だけ見ても非常に魅惑的である。

見ていると吸い込まれそうになるというか、うっとりしてくる。

闘牛士のマントは赤いし、禁断の果実たる林檎は赤いし、女性の口紅だって赤い方が魅力的である。

似合うかどうかは別として。

 

今でも真っ赤なコートを着て歩くことだってできるが、どうしても目立ってしまうのが嫌で、もう何年もそんなことはしていない。

そもそも、男性向けの赤いコートを探す方が難しい。

だから今は身の回りの小物だけ赤くして満足することにしている。

携帯のカバーとか、手帳とか、商談用のボールペン(中身は黒だが)とか、そんな細々したものだけである。

好きな色のものを持っていると、それだけでテンションが上がる。

色だけでそんな気分になれるのだから、これは得な性分だなと思っている。

ついでに仕事が3倍速くなってくれたら、なお嬉しいのだが。