読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

異呆人

毒にも薬にもならない呟き

年越しあれこれと初夢の話

昨年の年末は、彼女の実家で過ごした。

もちろん、初めてのことである。

お昼に義理の祖父母の家に挨拶に行き、それから義父と彼女と3人ですき焼きを食べ、紅白歌合戦を見て、いつの間にかゆく年くる年になって年を越していた。

彼女の母親は早くに亡くなっている。

他に妹がいるが、すでに一人暮らしをしている。

いつも大晦日は、彼女の家が氏子になっている神社の手伝いに義父が行き、彼女は家で一人で年を越していたらしい。

今回は、義父は神社の手伝いを断って、3人で過ごすことに決めたようである。

いつもより良い牛肉(彼女談)をつつきながら、私の両親がプレゼントした良い日本酒を飲み、和やかに初めての3人での大晦日を過ごした。

義父はどちらかと言えば厳格な人で、仏壇への線香の上げ方とか、神棚の拝み方とかいろいろとご教授いただいた。

厳しいこともあれこれ言われるかと思ったが、終始ご機嫌で、歓待されていたようである。

とりあえずは、何事もなくホッとした。

 

人は誰しも生まれ育った環境を、自分のスタンダードとするものである。

食事の仕方とか、風呂の入り方とか、トイレの使い方とか、そういった当たり前と思ってきたものが全く違っていたりする。

だから自分のすることが、どこかで相手の不興をかわないか心配だった。

恐る恐る、これは大丈夫かあれは大丈夫かと心配しながら、ときには彼女に確認しながら過ごした1日だった。

例えば、彼女の家ではスリッパを履いて過ごした。

同じフローリングでも、私の実家にはそもそもスリッパが存在しない。

例えば、彼女の家では前日の夜に使ったバスタオルを干して、翌朝の洗面でも使っていた。

私の家ではバスタオルは都度洗濯するし、洗面用のタオルも都度変えている。

良いとか悪いとかいろいろ理屈はあるのだろうが、要はそれが価値観の違いという奴である。

はっきり言って、私にとってはどちらでもいい。

世の中の95%くらいのこだわりは、どうでもいいものだと思っている。

 

ゆく年くる年がひと段落したのを見届けると、寝ることになった。

さすがに彼女の部屋のシングルベッドで2人で寝るという展開にはならず、ベッドの横に布団を敷いて寝ることになった。

出張の多い私は、環境が変わってもすぐ眠れる。

ただその日は結構酒を飲んでいたので、夜中に何度か目を覚ました。

確か、2度ほど夢を見た。

1つは忘れてしまった。

もう1つの覚えている夢が最初の夢だったか、2度目の夢だったかは覚えていない。

たぶん、その夢の序盤も忘れてしまっている。

私の記憶にあるシーンは、おそらくクライマックスだっただろう。

 

アパートの廊下のようなところだった。

たぶん、私は自分の部屋を出たところだった。

そこに上半身裸の女が駆けてきた。

下半身も下着1枚である。

見知らぬ顔だった。

女は「助けてください!」と言った。

とりあえず尋常ではないことは様子でわかるので、私は自分の部屋に女性をかくまった。

そこへ男がやってきて、「女を出せ!」と凄んだ。

こちらも見知らぬ顔である。

浅黒い中南米系の顔立ちで、パンチパーマだったことをなぜか覚えている。

事情を聞こうとしたが、男は問答無用で殴りかかってきた。

私はそれを華麗にかわし、カウンターを何発かお見舞いした。

ところが、男はビクともせず、表情一つ変えない。

私が驚いていると、男は言った、「金的以外は聞かねぇぜ」と。

それを聞いた私はホッとして、「それじゃ遠慮なく」と、男の股間を思い切り蹴り上げた。

男は呻き声をあげて、うずくまった。

悶絶している男を見ながら、追撃しようかどうしようか、そもそも金的で玉が潰れたらどうなるのだろうか、と考えていたら目が覚めた。

なんだか三文芝居みたいな初夢である。

富士も鷹も茄子も出てこない。

おっぱいは出てきたが、富士山サイズでも茄子型でもなかった。

 

起きて支度をしたら、3人で朝食を食べた。

どこかで取り寄せたおせちのお重と、義父の作った雑煮である。

雑煮には鶏肉と白菜と春菊と餅が入っており、かつおだしと醤油で味付けされていた。

実家の雑煮は、餅とかまぼこと三つ葉と焼いたするめが入っており、だしは昆布やいりこ(たぶん)で、ゆずで香りづけしてある。

食文化の違いをあらためて感じた。

ただ違ってれども、義父の雑煮は美味しかった。