読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

異呆人

毒にも薬にもならない呟き

マリッジブルーブルー

結婚の準備をいろいろ進めている。

両家の顔合わせは終わった。

新しく住む部屋は決めた。

式の日取りも決めたし、今はドレス選びにかかっているところである。

あとは引越しと入籍と、具体的な式の準備が待ち構えている。

こういうあれこれに、希望的な未来を想像しながら楽しく取り組める人もいるのだろうが、世の男性の大半にとってはロマンのない事務的な段取りがほとんどで、煩雑であるという以外の何ものでもない。

私もまったく楽しいことがないかと言われればもちろんそうではないが、それでも大変さに打ち勝つだけの何かはないと感じている。

 

そんな中、どうも彼女がマリッジブルーらしい。

電話してる最中に「マリッジブルーかもしれない」と言って泣き出すくらいだから、たぶんマリッジブルーである。

もともと情緒の安定したタイプではないので、わからないでもない。

結婚にはいろいろな不安がつきまとう。

決めなければならないことも多い。

私はほとんど選択肢を絞るだけで、最終的には彼女の好きなように決めさせていたのだが、そういう決断も精神的な負担になっていたようである。

かと言って、私が次々決めてしまうのも問題だと思うし、できる限りの相談やアドバイスはしてるので、これ以上できることはない。

彼女もそういったことはわかった上で感情が暴走しているだけなので、「幸せなのに泣いたりしてごめんなさい」と謝る始末である。

私としては、ヒステリックに当り散らされないだけで十分である。

 

私自身はマリッジブルーなんて都市伝説ではないかと思っていた。

望んで結婚をするのに、何を心配するというのだろう。

本当に心配なことや不安なことがあるなら、婚約前に解消すべきことである。

理屈に合わないと感じていた。

手伝えることなら手伝うし、相談に乗れることなら相談に乗るし、話ならいつでも聞くことはできる。

元来、他人に期待しないタイプなので、「こうあってほしい」とかプレッシャーをかけることもない。

彼女には起こらないだろうと思っていた。

しかしながら実際にそうなってしまっている以上、きっと私にも至らないところがあったのだろうと反省している次第である。

 

まぁよくよく話を聞いていると、どうも義父に原因があるらしい。

義父は昭和のお父さん像を色濃く残している人で、何かにつけて彼女に「夫を立てなさい」とか「家事や身の回りの世話をしっかりしなさい」とか言い、挙句「嫁に出すのが心配だ」とか「お前にはあの人(私)はもったいない」だとか言っているそうである。

義父も娘が初めて結婚するので、心配な親心で言っているのだろうが言い過ぎの部分もある。

私は十数年一人暮らしをしているので家事一切は自分でできるし、立ててもらうのはアレだけで十分である。

裁縫だけはまったくできないので、彼女に任せると公言しているが。

彼女には、義父の話は「話半分」に聞いておくように言った。

 

マリッジブルーは男性にもあるらしいが、今のところ、私にその兆候はない。

基本的に、迷うことはあっても悩むことはない。

わからないことは不安に思うこともあるが、わからないのだから仕方ないと棚に上げておくのが常である。

心配なことも、できる限りの対策を打ったら、それ以上にできることはない。

人事を尽くせば天命を待つしかなくなる。

先日、胃が痛くて薬を飲んでいたときは、会社の同僚から「マリッジブルーじゃない?」としきりに囃されたが、胃を病むほどのマリッジブルーになるなら最初から結婚などしない。

 

ただ、彼女のマリッジブルーが長く続くようだと、マリッジブルーに対して憂鬱になりそうである。

マリッジブルーブルーとでも名付けようか。

さっきもLINEであれこれ言ってきておいて、「余計なこと言っちゃったかも、ごめん」と自ら誤っていた。

私はまだ返事もしていないし、そもそもそんな細かい言葉尻はなんとも思っていない。

一緒に住み始めれば変わるだろうか。

いや、生活習慣の違いが現れて、余計に酷くなる可能性もある。

まぁまずはいつも通り、泰然と構えているしかあるまい。

人生結局、為るようにしか為らない。