異呆人

毒にも薬にもならない呟き

結婚式場を決めてきた 〜ホテルとゲストハウス〜

ここしばらくの間に結婚式場を決めてしまった。

相手の親がお日柄を気にする人なので、早めに決めないと大安・友引などすぐに埋まってしまう。

私の希望としては親族を遠方から呼ぶことになるので、交通アクセスの良いところであればどこでも良かった。

あとは金額である。

それ以外は彼女の好きにしてもらえばいいと思っていたので任せていた。

その結果、彼女は入念に下調べをして、それから一緒にゼクシィカウンターにまで行って候補を絞り込んだ。

そのプロセスは別に記してある。

結婚式は必要か? - 異呆人

 

で、ゼクシィでセッティングしてもらった式場見学に行ってきたわけである。

彼女からの前情報として、「その場で(もしくは当日中に)決めてくれたら割引します」と言われるのが通常らしかった。

だからその場で決断はしないにしても、その日のうちに決めるつもりでいてほしいとのことだった。

それはまったく構わない。

私の決断は非常に早い。

むしろ慎重で優柔不断な彼女が決め切れるかどうかの方が遥かに心配である。

 

ピックアップされた式場は、ホテルとゲストハウスだった。

通常の宿泊施設に加えてチャペルがあるホテルと、完全に結婚式のために設けられた専門式場であるゲストハウスでは、趣が少々異なる。

二人とも式場を見て回るのはもちろん初めてだったので、そこの違いも含めてしっかり見て回ろうと話し合った。

最初に行ったのはゲストハウスである。

駅までのアクセスが少し悪かったが、駅から式場までは非常に近かった。

着いたらプランナーさんが待ち構えて出迎えてくれた。

さすがに普段私が扱うような商材とは桁の違う商売である。

サービスも非常に丁寧だ。

 

打ち合わせスペースに通され、一通り希望をヒアリングされてから、チャペルや披露宴会場を見て回った。

チャペルも披露宴会場も非常に雰囲気が洒落ている。

さすがに結婚式のために作っているだけはある。

わりとコンパクトな式場で、全体的に新郎新婦とゲストの距離が近いように感じた。

見学が終わると、早速見積りである。

結構な値段が出てくることも覚悟していたが、最低限のオプション付きで160万程度と、予想の範囲内ではあった。

ちなみに一般的な結婚式費用は平均300万くらいである。

諸々のオプションがついてこの見積りよりは増えるだろうが、なんとか200万くらいに収めたいなと思った。

見積りには想定のご祝儀を差し引けば、ほとんど持ち出しがないように見せられていた。

もちろん現実にはそんなことはないだろう。

さすが商売、うまいこと見せるものである。

 

それから喫茶店で休憩しながら、午前中の見積りの穴を埋める作業をした。

どこがいくらくらい増えるか、きちんと計算し直すわけである。

それはもう私の仕事なので、彼女の意見を聞きながら電卓を叩いていった。

予想通り、自分たちが想定できるだけでも20万くらいは軽く増える。

見落としや打ち合わせしながら増えていく分を考えると、もう20万くらいは増えるだろう。

ビジネスにおいては見積りというのはあくまで叩き台である。

さすがに結婚式なのでここから値切るようなことにはならないが、実際の金額を見定めておく必要はある。

 

そうやって時間を潰してから、2軒目の式場に向かった。

2軒目は料理の試食がついてくる。

少し早めの夕食になるので、昼食は食べずに向かった。

こちらはホテルである。

遠方から親族を呼び寄せるので、人によっては一泊していくことも考えられる。

そうなればホテルと式場が一緒になっている方が楽でいい。

こちらの式場の方がアクセスも良く、どちらかというと事前の段階ではこちらが本命だった。

 

ホテルのプランナーの応対はきっちりしていた。

ゲストハウスのプランナーがややカジュアルだったのに比べると、格段に丁寧である。

このあたりは単に好みの問題だろうが、私はどちらでも気にならなかった。

こちらも一通り希望をヒアリングされてから見学に移った。

チャペルの雰囲気はこちらも良かった。

披露宴会場は一般的なホテルの宴会場といった感じだったが、特に問題は感じなかった。

唯一気になったことがあるとすれば、やたら実際に式をしている新郎新婦とすれ違ったことである。

どうもその日はかなりの数の結婚式が入っているようだった。

本当にこれだけ部外者とバッティングするなら、はっきり言ってせわしない。

 

それからこちらも見積り提示になり、説明を受けた。

見積りの説明はこちらの方が丁寧で、先ほどの式場で見落としていたようなものもいくつか見つかった。

このあたりの丁寧さもホテルクオリティなのだろうか。

金額は200万程度と若干高かったが、先ほどの式場で含まれていなかった費用が入っていたので、まぁ同程度かなと思った。

そんな感じで頭の中で計算を立てていると、料理の試食の時間になった。

実際に出されるコースを味わえるという大層なものである。

ただの見学に対してそこまでして、果たしてそれで元が取れるのだろうかと他人事ながら心配になるが、きっと結婚式の原価率なんて低く、ほとんどがサービス料なのだろう。

 

料理はとても美味しかった。

しかもボリュームもかなり多く、少食の私と彼女は試食の後半は顔を見合わせて苦笑するくらいだった。

そしてここからがとても巧みだった。

試食会の後で、プランナーが今度は値引きした見積りを再提示してきたのである。

金額は20万ほど下がっていた。

なるほど、あの料理のクオリティでこれはインパクトがある。

そしてそのまま決断を求めてくる。

彼女がその場での決断を避けて持ち帰ろうと四苦八苦していたので、私が横から助け船を出してあげてその場は一度引き上げることになった。

 

というか、そこまでの流れを見ていて、明らかに彼女が最初に見た式場の方を好ましく思っていることが見て取れた。

彼女は私に対しても努めて中立なコメントを心がけていたが、表情や仕草の端々にそれが表れるので、わかる人間にはよくわかる。

もう一度喫茶店に行き、そこで電卓を叩き直したが、金額的には両者大差なかった。

まだそれでも彼女が迷うような雰囲気を見せたので、「俺は最初の式場が良いと思った」と背中を押してあげると、あっさり決断した。

するとそこに、電話がかかってきた。

式場見学をセッティングしてくれたゼクシィの担当者である。

見計らってたにしろ、素晴らしいタイミングである。

こちらの決断を伝えると、式場への決定の連絡や断りの連絡もすべてやってくれるという。

プロらしい手際を見せつけられ、彼女は「神か!」と感激していた。

 

さて、今回はホテルとゲストハウスで迷ったのだが、彼女にとっての決め手は会場の雰囲気だった。

やはり結婚式のために設えられたゲストハウスは、細やかな調度もそれに合わせて作られており非常に雰囲気が柔らかかった。

見方を変えればカジュアルだということもできるが、そこが人それぞれの好みだろう。

ホテルは全体的にその点かっちりしており、外さないというか、万人ウケすると思う。

今回比較した2つでは、料理とサービスはホテルの方が良かったと思う(ゲストハウスの料理は後日試食した)。

たぶんスタッフ教育の質が違うのだと思うが、見る人が見ればゲストハウスの接客にはアマチュア感を感じる。

あとチャペルについては、ホテル内に設けるところは天井が低いというデメリットがあると感じた。

特に都心部のホテルではこの条件は避けられないだろう。

それぞれの違いは小さなことかもしれないが、一生に一度の大きな買い物だと思えば気にしたくもなる。

 

それにしても、決めてしまった後の安心感たるや。

性分なのだろうが、決めなければならないことが残っている状態というのが、とてもストレスを感じるのである。

一つ一つ決めていって、肩の荷を少しずつ降ろしていかなければならない。

いっそ、式が終わった翌日にタイムスリップしてもいい。

もしそんなことが起こったら、そのとき横にいる彼女の顔に浮かんでいるのは、満足感だろうか、疲労感だろうか。