異呆人

毒にも薬にもならない呟き

ベーシックインカムな未来

最近、新聞を読んでいると、「ベーシックインカム」なる言葉がときどき取り上げられている。

日本語に直すと最低所得保障と言われたりする。

最低所得保障という言葉からは「健康で文化的な最低限度の生活」という日本国憲法第25条の条文が連想される。

「それなら生活保護のことではないか?」と思われるかもしれないが、性質が少し異なる。

ベーシックインカムは、すべての人に最低限度の生活が送れる資金を現金給付することを想定している。

生活保護に貧困者の救済という性格があるのだとすれば、ベーシックインカムは富める者も貧しい者も一律に生活を保障するので平等性や公平性がある。

どんな人も働かないでも暮らしていけるなんて、夢のようで非現実的だと思われるかもしれない。

しかしながらヨーロッパの一部ではすでに社会実験として導入されている。

夢のようかどうかの議論はあるにしても、非現実的な政策だとは言えない。

 

働かないでも食べていけるという制度は、人間の堕落を誘うと言われるかもしれない。

しかし現状でも生活保護は働かなくても食べていけるレベルの制度であるので(適用要件はあるにしても)、実質的には「働かないでも食べていける」世界は実現している。

ベーシックインカムの特徴は、働いている人も制度の恩恵を受けられるので、「働かなくても食べていけるが、働けばその分、生活に余裕ができる」というところにある。

つまり「働く」という行為が、今の一般的に「必要最低限の行為」から、「プラスαを作るためだけの行為」に変わるのである。

 

具体的に考えてみると、例えばすべての人に毎月10万円が支給されるようになったとする。

単身で生活に必要な費用を考えると、地域にもよるが大体8〜10万円くらいだろう。

10万円あれば生活はできる。

だが、どれほどの人が「月10万円もらっていたらそれで十分」と考えるだろうか。

少なくとも、私は月10万円もらっていればそれで満足、とは思わない。

やはり自分の好きなことをしたり好きなものを買ったりするために、もう少し余裕が欲しいと思う。

どれくらい上乗せで稼ごうとするかは人によるだろうが、まったくそれで十分という人は少数派ではないだろうか。

多くの人が働く意欲を失い、自堕落な生活を送るとは思えない。

 

そもそもベーシックインカムが実現したとすれば、賃金も変わってくるかもしれない。

ベーシックインカムを前提とした給与が支給されるようになるかもしれない。

まぁ、最低支給分と給与を足して今と同じくらいなら、それこそ労働意欲を大きく削ぐだろうし、そうなれば人が集まらず困るのは企業の側なので、賃金が激減するということは考えられないかもしれない。

しかし最低賃金という発想はなくなるかもしれないし、賃金レベルは下がりそうな気はする。

他には莫大な予算が必要となるので、それをどう賄うかである。

現在種々ある社会保障を一元化できるので、行政コストが大幅に下がって賄えるのではないかという考え方もある。

また、労働分が最低限の生活に対する純粋な上乗せになるのであれば、人々の可処分所得は増えるだろうし、ベーシックインカムの存在が人々の消費マインドを後押しすることは間違いないだろう。

そうなれば経済にはプラスの影響が働くので、経済活性化による税収増などのメリットにより、意外とベーシックインカムとしての支給分は吸収できることになるかもしれない。

 

私は、ベーシックインカムは決して絵空ごとではないと思っている。

なぜなら、AIやロボットの急速な発達が人間の仕事を奪う可能性があるからである。

今の段階でも、AIやロボットが代替できない仕事というのは、かなり少ないと思う。

問題はコストだと思うので、これはAIやロボットの進化が進んで幅広い活用に目処がつき、量産化が進めば一気に解決する問題だと思う。

多くの仕事において人の手を必要としなくなったとき、私たちは仕事にあぶれる。

AIやロボットを所有する人が多く富を手にすることにはなるだろうが、他の一般人が生きていけないような世の中にはならないだろう。

 

そんなとき、きっとベーシックインカムは最適な制度として選択肢になるに違いない。

ただこの場合、仕事はすでにないので、最低保障以上の上乗せを稼ぐ場はなくなる。

あるいはそんな世界でも、人間が稼ぎを手にする方法が生まれるのだろうか。

古代ギリシャでは、労働から解放された人間が学問や芸術に目覚めたりした。

現代ならそれ以外にも、スポーツや格闘技などの勝敗や順位を競うものが持て囃されそうな気がする。

あとは、ひたすらセックスに溺れる奴が出たりとか。

子供ができても経済的に困ることはないし、もはやB級なAVやエロゲみたいな展開の発生も考えられる。

逆に出生率が急速に回復して、人口増による問題が発生するかもしれないが。

 

とまあ、またくだらない妄想を広げてしまった。

妄想の内容の是非はともかくとして、私は制度として真面目に議論する価値のあるものだと思う。

日本でも社会実験をやったりしないだろうか。

被験者を募るなら、喜んで手を挙げる。