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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

個人型確定拠出年金という選択肢

個人型確定拠出年金を使いたいと、しばらく前から思っている。

最近は優遇税制の追い風を受けて関係各所も大々的に普及推進しており、ついにはiDeCo(イデコ)という愛称まで付いた。

なのに一般の人にはあまり知られておらず、利用しているという人は身近にまったくいない。

もったいないなと思う。

運用目的にもよるが、ちょっとしたフィーバーを起こしたNISA(ニーサ)よりも恩恵は大きい。

 

そもそも「確定拠出年金」自体がなんぞや、と思う人もいるかもしれない。

大雑把に言えば、退職金の給付システムの一つである。

従来、日本の企業の多くは退職金として「確定給付年金」制度を採用してきた。

確定で給付だから、将来いくらもらえるか決まっている。

わかりやすいし、従業員からすれば安心である。

しかし企業はただ退職金として資金を積み立てるだけではない。

できるだけ少ない資金で退職金を準備できるように運用するのである。

資金を眠らせておくのはもったいないから、当たり前の発想とも言える。

 

だが無闇に運用すると損失を出すこともある。

今もそうだが、低金利下では予定していたほどの運用利益も出せない。

運用に失敗してもその失敗を従業員に被らせるわけにはいかないから、損を出せば企業が損失を被ることになる。

それなら積み立てる退職金は自分たちで運用してもらおう、というのが確定拠出年金である。

確定で拠出なので、積み立てられる金額は決まっているが、将来いくら受け取れるかはその人の運用次第である。

「DC」あるいは導入当初は「日本版401k」と言われたりもした。

アメリカの同制度「401k」を参考に作られたからである。

 

これなら人によって退職金を、リスクをとって積極的に運用することもできるし、銀行に預けるような感覚で放置することもできる。

企業は一定額だけ積み立てておけばいいから安心である。

しかもこの制度、運用益が非課税という特典が付いている。

通常、株式や投資信託で運用して得た利益は20%課税される。

それがなくなるのだから、いかにメリットが大きいか言うまでもないだろう。

まぁあくまで退職金なので、途中で引き出すことはできない。

運用益を手にするのは、定年を迎えたときのお楽しみである。

 

ここまで書いたのは企業型確定拠出年金の話である。

なので確定拠出年金制度がなく、確定給付年金のみの企業の従業員や、そもそも退職金がないお仕事の人達には関係のない話である。

本題の個人型確定拠出年金というのは、この確定拠出年金制度をもっと多くの人に使ってもらおうという制度である。

こちらは誰でも加入できる。

勤め先で企業型確定拠出年金制度がある場合は合計の拠出額に限度があるが、自営業者や退職金のない企業に勤めている人が使えることがありがたい。

メリットは言うまでもなく運用益の非課税だが、それだけではない。

自営業者であれば拠出額は全額所得控除できるし、サラリーマンでも一部年末調整で返ってくる。

税金がかからないどころか、税金が減るのである。

個人型確定拠出年金制度を「最強の資産運用方法」という人がいるが、それはこのような税制メリットが大きいからである。

ちなみに確定拠出年金制度のある企業を退職した場合は、積み立て額はこの個人型に移行される。

私は最初に働いていた会社が確定拠出年金だったので、辞めた後、一時期個人型確定拠出年金を使っていた。

入り用だったから、すぐに引き出したが。

 

これだけメリットの多い制度なので使いたいなぁと思っているのだが、まだ実際に利用するには至っていない。

個人型確定拠出年金にもデメリットはある。

それは、積み立てた資金を60歳までは引き出せないことである。

資金を長期固定してしまうことが、最大にして唯一のデメリットと言ってもいい。

あくまで老後資産の形成にしか使えない。

手元資金の薄い私が資産の流動性を下げてしまうことは、万一大きな金額が入り用になったときに、自分の首を絞めることにつながってしまう。

先ほど「入り用になったので引き出した」と書いたが、企業型から個人型に移行した場合は、一定の要件を満たせば引き出せるようになっている。

 

あとは、この個人型確定拠出年金を運用する際に口座管理手数料を取られる。

預け先の銀行や証券会社によって異なるが、年間数千円かかる。

まぁ、所得控除だけで通常はこの数千円をペイできるので、こちらはデメリットとは言えないだろう。

手数料は預け先によって異なるので、よく調べてみた方がいい。

アフィ狙いならここでネットバンクの401kを勧めたりするのだろうが、めんどくさがりの私はそんなことはしないので、気になるなら各自勝手に調べて欲しい。

 

これだけ美味しい制度なのだが、一向に普及が進んでいない。

「イデコ」というどうしようもないネーミングセンスが問題なのではない。

日本人の運用に対する意識がとても低いことが問題なのである。

「資産運用」=「なんかわからんけど怖いもの」と思っている人が、未だにたくさんいる。

あるいは「運用するほどの金がないから関係ない」と思っている人もたくさんいる。

金がないのはどうしようもないことだが、私は金がないからこそ効率的に増やす必要があると思っている。

カードのポイントサービスやこういう資産運用にうるさいのはそのためである。

 

昔は一時期、仕事で金融教育に近いこともやっていた。

本当は学生などのもっと若いうちに、あるいは学校教育の一環として、金融教育に取り組まなければならないと思う。

最近は給付型奨学金などが議論されているが、奨学金を借りないと進学できない人はたくさんいるのである。

そして基本的に奨学金は返さなければならない。

つまり奨学金を借りるということは、本来はそこから先の将来のライフプランまで見据えなければならないということでもある。

「お金を儲けるための金融教育」ではなく、「資産を守るための金融教育」という、もっとディフェンシブな側面から、その必要性を議論してほしい。

 

話が逸れたが、要は「金がないから個人型確定拠出年金制度を使うのが怖い」ってだけである。