異呆人

毒にも薬にもならない呟き

出張の技術

今年度は故あって出張を控えている。

会社の方針でもあるが、それを理解した上での自主規制でもある。

もちろん弊害はたくさんあるわけで、それが出ないように気を配りながら、同時に出張を減らした場合どの程度弊害が出るか観察してもいる。

やはり現場回りをしないと情報が入らない。

それが一番の弊害である。

取引先の変化や市況や同業他社の動向がわからない。

商売において情報は重要である。

それが人より一歩早く動けるか、周りに乗り遅れないか、相手の隙を突けるか、に影響する。


減らしていると言っても、週に1回、1泊2日くらいで出張する。

昨年度は毎週のように3泊4日の出張だった。

出向で来た課長が「それって慣れるもんなの?」と聞いてきたことがあり、「慣れますけど、疲れないわけじゃないです」と回答したことがある。

実際、そんな感じである。

ルーティンのように繰り返していると、部分部分の省力化が図られて多少楽にはなる。

ただし疲労は澱のように蓄積していくので、どこかでスッキリ解消しないと身体に不調をきたす。

歳を重ねてきたと実感する昨今は、特にそれが顕著である。


出張であちこち飛び回っていると言うと、羨ましがられることも多い。

一つ所で椅子に座って仕事をするような職の人からすれば、そう感じられるのも無理からぬことかもしれない。

実態はかなりハードである。

以前、1週間同じ動きをした同僚が何人かいたが、「もうやらない」、「これを毎週やったら死ぬ」と、それぞれネガティヴな感想を漏らしていた。

残念ながら私はそのやり方を変えていないし、死んでもいない。

あと「出張であちこち行けば、各地の美味しいものが食べられる」と思っている人も多い。

そういえば以前、「孤独のグルメ」という漫画が流行っていた。

全否定するつもりはない。

そりゃあたまにはご当地グルメに舌鼓を打つこともある。

しかし毎回そんなことを繰り返していれば赤貧生活に陥る。

安月給のサラリーマンを舐めてはいけない。

行くたびに食べるご当地グルメなど、香川に行ったときに讃岐うどんを食うくらいである。

讃岐うどんは安くて早くて旨い、ファストフードの至高だと思っている。


私の場合、出張の手配も何から何まで自分でやる。

飛行機、新幹線、ホテル、レンタカーの予約すべてである。

どこに行くには何が安いか検討し、時間と経費のバランスを熟慮し判断する。

例えば今回の出張であれば、広島まで新幹線で行きレンタカーを借りる。

翌日は滋賀なので新幹線で新大阪まで行き、実家に泊まる。

翌朝に電車で大津まで行ってからレンタカーを借り、大津で車を返して京都まで出てから新幹線に乗る。

この旅程の場合、広島には飛行機で行った方が安いこともあるが、今回は旅程が決まったのが直前だったのと、帰りが新幹線なので飛行機で行けばレンタカーを乗り捨てる必要があるので、行きも新幹線にした。

レンタカーは同一県内なら乗り捨てが無料の会社もあるが、今回は安いカーシェアを使っている。

総合的に判断すればこの方が安い。

2日目も、大阪から車を借りて滋賀まで行き大阪で返して新幹線に乗る方法、京都から同じことをする方法、滋賀は米原まで行ってから同じことをする方法がある。

時間とコストを考えれば、今回選んだ大津ルートと京都ルートがコスパが同じくらいで最も良い。

大津ルートを選んだのは、混雑する京都駅前で発着したくなかっただけである。


そんなことをあれこれ考えながらルート選定する。

宿は今回は私個人にメリットが出るように実家にしたが、車を返す場所や翌日の移動手段によって、どこで泊まるのが最適かは異なる。

大阪、神戸、京都はホテルがかなり取りづらい。

だから関西なら実家を使うことが多い。

博多もやや取りづらい。

九州なら小倉がホテルのコスパは抜群である。

車移動なら交通の要衝、佐賀の鳥栖がオススメ。

名古屋は駅周辺にするか栄まで足を延ばすかで、かなり選択肢の幅が変わる。

このような私の出張ルート選定のやり方は、ほとんど熟練の技のようなレベルになっている。

会社からも「よくわからないけど、すごく経費に気を遣ってくれている」と言われている。

当たり前ながら無駄使いをする気はない。

そういう努力が回り回って自分の境遇に跳ね返るものである。


数年出張生活を続けてきたせいで、もはや極意のようなものを掴んできているのではないかと思われる。

まぁこんな作業、そのうちAIに簡単に取って変わられそうだが。

目的地や経由地を指定して、安さ重視か早さ重視かなどの希望を伝えれば、瞬時に最適なルートや一番コスパの良いホテルを検索してくれそうである。

今のYahoo乗換案内とじゃらんをくっつけて、もう一段機能をグレードアップさせるイメージ。

そのうち営業や接客だってペッパーみたいなロボットがやってくれるかもしれない

そしたらロボット自身がその高度な検索システムを使いこなすだろうから、人間より遥かに効率的で優秀な営業マンになるかもしれない。


しかし、もしロボットが出張するとなると、新幹線や飛行機は人間として料金を払うのだろうか。

それとも貨物料金になるのだろうか。

そもそもロボットならホテルはいらないかもしれない。

あぁ、でも充電する必要がありそう。

ホテルの代わりにロボット用の充電スタンドがあちこちに出来たりして。

そんな無駄な妄想が広がってきたので、このあたりにしておこう。

いつか取って代わられるとしても、今の私に出来ることは、自分のスペックで最大限の仕事をすることだけである。

妄想で金は稼げない。

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