異呆人

毒にも薬にもならない呟き

好きな女性のタイプ

彼女がいなかった頃、「彼女がいない」という話をすると、「どんな女性がタイプなの?」とよく聞かれた。

私はこれほど無駄な質問はないな、とよく思った。

「〜こういう人がタイプです」と言って、実際にそんな人が現れたとして、恋愛に発展するとは限らないからである。

だからそんな質問を受けたときには、「特にない」と答えることがほとんどだった。

それでもぼんやりと考えていたのは、「自立した大人の女性がいいなぁ」というものだった。

私自身が1人の時間がないと耐えられないタイプなので、相手も1人のときは自由にその時間を楽しめる人が良いと思っていた。

あまりべったりと頼ってこず、持ちつ持たれつの少しドライな関係が理想だと思っていた。

ちなみに今の彼女はまったく違う。

私好みの要素は10%程度しかない。

「好きなタイプ」があてにならないことを、身をもって証明している。

 

大学時代、そんな漠然とした好きな女性のタイプについて後輩と話をしていたとき、後輩から「つまりあれですね。戦場で背中を預けられるような女性が良いということですね」と言われたことがある。

アニメや漫画の見過ぎだと諭したが、言っていることはわからないでもない。

というか、まあ確かにそういうことだなと思った。

一言で言えば、信頼できる相手だということである。

信頼と信用は違う。

信用は信じて用いると書く。

信じられるかどうか、嘘をつかないか、裏切らないか、というだけである。

信頼は信じて頼ると書く。

何かをそのまま任せることができる、ということである。

それは先に述べた「自立している」ということと同じような気がする。

自立していなくても、善良であれば信用はできる。

信頼するには、それなりの力や強さが認められなくてはならない。

 

その後輩とは、わりと女性の好みが近かった。

一緒に飯を食いに行ったりしたとき、好みの店員がいて「あの娘可愛いね」と言う相手が同じだったりした。

そんなときに、その後輩というフィルターを通して、自分の好きな女性のタイプというのを客観的に把握することができた。

それは、いわゆる可愛い女性というのとは少し違う、「ミステリアス」という表現に近いような女性だった。

あるいは「媚びない」というのに近いかもしれない。

愛想が悪かったり、淡々としていたり、それでも雰囲気が暗いわけではなく、自分のペースで活動している女性である。

合コンなどには絶対に出てきそうにないタイプである。

 

そんな女性と出会う機会はなかったので、ずっと彼女がいなかったのかもしれない。

あるいは出会っていたとしても、何も起こらなかったかもしれない。

理想とか好みとか、そんな型はやはり型でしかないのだろう。

現実の人間には当てはまらない。

ちなみに他人から「お前にはこういうタイプが合う」と言われていたのは、「守ってあげたくなるような妹系」だった。

確かに、実際に需要があったのはそういう女性が多かったし、今の彼女だってどちらかといえばそうである。

「好きな女性のタイプ」から、すでに片思いになっていたのかもしれない。

 

それでもどうしても譲れないのは、「相手が自分と対等である」ということである。

これは今の彼女にも言ってある。

私の方が収入が多くて家計を支えることになるだろうし、私の方が歳上だし、私の方がしっかりしているかもしれないが、気持ちの上では対等だと思っていてほしいと。

だから不満や希望があればすぐに言うように、というのが最初に交わした約束である。

理想のタイプとは違うかもしれないが、理想の関係ならこれから作っていけばいいのではないかと思う。

別にこんなくだらない話に限らず、世の中すべからく理想も現実も必要で、その2つをいかに納得の上で結びつけるかが大切なのだろう。