異呆人

毒にも薬にもならない呟き

もやしが安い

一人暮らしを始めてもう10年以上になる。

まともに自炊をしていたのは、大学生の最初の1年くらいだった。

大学2年になると面倒なレポートが増えてきたり、部活動やバイトが軌道に乗ってきたりして、なかなか時間が取れなくなった。

そして期末のレポートに追われていたあるとき、スーパーの惣菜で食事を済ます日々が1週間ほど続いた。

夜になって慌てて閉店間際のスーパーに駆け込み、半額のお惣菜を買い漁る。

それからそのまま夜中までレポートを打つ。

そのときに気付いてしまったのだ、「あれ、作るより買った方が安くない?」と。

 

ある程度の種類の野菜を買い、バランスや彩りにも多少は気を遣い、ほぼ毎日自炊をするようにしていた。

しかし野菜を複数使った料理をするのは、一人暮らしではなかなか難しい。

キャベツなら半玉でも2,3日分になる。

人参も1本で2日分くらいである。

そんな感じで、複数の野菜がそれぞれに、使い切るまでに日数がかかる。

毎日同じ野菜で違うメニューを考えなければならない。

そして傷む前に食べきるように、毎日料理し続けなければならない。

時間があれば楽しい作業だが、時間に追われていると煩わしいことこの上ない。

 

しかも野菜も肉も意外と高い。

一人暮らしなのでスケールメリットがまったく働かない。

スケールメリットを存分に活かした出来合いの弁当の方が、はるかにコストパフォーマンスは高い。

調理にかける時間や労力を考えたら、その差は歴然としている。

結局いろんな材料を少しずつ使う料理は、一人暮らしにはまったく向いていないしコストも高くつくのだ。

そう考えるに至り、自炊をほとんど放棄するようになった。

例外的に自分で作った方が安いのは、炊いた白米くらいである。

学生時代は節約の意味もあり、白米たっぷりの卵かけ御飯が主食だった。

 

仕事を始めてからは、より自炊をしなくなった。

仕事で疲れて帰ってきて、料理をする気などまったく起きない。

最初の仕事は帰宅が22時くらいだった。

朝は7時くらいに家を出る。

帰り道にスーパーに寄り、帰って飯を食い、すぐ寝たらもう朝である。

家には寝に帰るだけ、とはこのことである。

 

今は仕事はそこまでハードではないが、出張で家を空けることが多く、食材を余らせておけないのでほとんど自炊はしていない。

休みの日にたまにする程度である。

自炊をしても食べる量が減っているので、ほとんど米は食べなくなった。

ビールとおかず、気が向いたら甘いものである。

そんな私が自炊するとき、近年注目している食材がある。

「もやし」だ。

 

もやしの最も素晴らしいところは、その圧倒的な安さにある。

近所のスーパーで売っているもやしは、1パック200gで17円(税別)である。

17円である。

今やチロルチョコすら10円で買えない世の中で、10円の砦を死守しているのはうまい棒くらいである。

それと比較しても200gで17円というのは、抜群のコストパフォーマンスではなかろうか。

ボリュームがあるので食べ応えもある。

栄養は大してないかもしれないが、その代わり低カロリーである。

調理も炒めるだけなので容易い。

素材の味がないので、味付けも自由自在である。

 

これに鶏ムネ肉というのが、私の中のゴールデンコンビである。

ブラジル産で100gが48円とかの鳥ムネ肉なら、100円程度でも十分なボリュームである。

今日はトンテキ用の豚ロースが、1枚88円でバラ売りされていたのでそれにした。

それともやし2袋が34円である。

あとは安い第3のビールがあればいい。

足りないときは3個99円の豆腐を出すか、5本入りで88円のちくわを出す。

どれも素晴らしい。

 

このように「もやし」の素晴らしさを会社で同僚に語ったりすると、頭のおかしいやつだと思われる。

誰も「そうだよね!もやしって良いよね!」と乗ってきてくれたりしない。

どうしてこの素晴らしさが伝わらないのかわからない。

私の伝え方が悪いのだろうか。

最近はもやしを栽培できるキットがあるそうだ。

ちょっと気になったりもするが、間違いなく栽培するより買った方が安いだろう。

餅は餅屋ではないが、もやし作りはもやし屋に任せておけば良い。

ちなみに言っておくと、私は安く食べられれば、もやしでなくたっていい。

いつか牛肉が安く食べられる日が来ないだろうか。