異呆人

毒にも薬にもならない呟き

BFLYツアーファイナルに行ってきた

タイトルの通りである。

BUMPのライブに行ってきた。

私は普段はライブに行かない。

CDを聞いていれば満足できる人間である。

だから今回も申し込んでいなかった。

行くことになったのは、たまたま縁があってそういう機会を得た、というだけである。

以前にも一度、QVCマリンフィールドのライブに行ったが、そのときも親友がチケットを得て、私は付いて行っただけだった。

人生における運は間違いなく悪い方だが、普段の悪運を払拭するくらいの幸運と言える。

 

チケットは2枚あったので、彼女と行った。

彼女は以前に私が貸したCDを聞いている程度で、ファンというわけではない。

私もファンだと胸を張れるほどではないと思っている。

ただ好きなだけである。

十数年ずっと聴き続けるくらい好きなだけである。

日産スタジアムの最寄りの新横浜駅は、すでにライブに向かうであろう、もしくはライブ会場でグッズを買ってきたであろうファンでごった返していた。

Tシャツやタオルや鞄を持って、「これからBUMPのライブに行きます」感をこれでもかと表現している人がたくさんいた。

ちょっと欲しいなと思ったが、彼女を連れてあの長蛇の列に並ぶのは忍びなかった。

それにライブを聴くのが目的であって、グッズを買うのが目的ではない。

服装も完全に普通だった。

彼女の方が、ライブファッションに気を配っていたくらいである。

 

水とおにぎりだけ買って会場に向かった。

会場に向って歩きながら思っていたが、ファン層がかなり若い。

高校生や大学生と思しき若者がたくさんいた。

リアルタイムでBUMPを聞き続けてきた人間は、私のようにオッサン・オバサンになっているはずである。

事実、私と同年代の人たちもちらほら見かけた。

だが圧倒的に私よりも若い人が多い。

それだけBUMPの音楽が若者の心に響くものであるということだろう。

良いことである。

 

席はスタジアムの2階席だった。

ステージが正面に見える位置の最前列だった。

ものすごくよく見える。

本当に、この幸運を享受して良いのか不安になった。

それからは席に座って、始まるのをただ待った。

曇っていて、暑くなくちょうどいい。

雨も降っていない。

隣の席が50代くらいのカップルだったことが、私の妄想力を大いに刺激したが、それよりも目の前のライブである。

多少の加齢臭だって受け入れられる。

 

国内最大級のスタジアムである日産スタジアムを軽く満席にして、ライブは開演した。

普段ライブに行かない私は、多くを求めない。

BUMPの曲を、藤原さんの声を生で聴けるだけで十分である。

幸い、BUMPのライブに、派手に歌って踊るようなファンはいない。

フェスとかライブそのものが好きな人は、あまり来ないのだろう。

みんなとりあえず、ライブが聴ければいいのかもしれない。

なんなら、着席したまま聴いたっていいと個人的には思うくらいである。

 

曲は「BFLYツアー」なのだから、当然最新アルバム「butterflies」から多く選ばれた。

個人的には早々に「K」を歌ってくれた段階で鳥肌が立ってテンションが上った。

アリーナ席後方にせり上がったステージで「ダンデライオン」を歌ってくれたこと、その時に全員に配布されるライトを一斉に黄色にして、タンポポ畑を生み出す演出も素晴らしかった。

トリはアルバムの表題曲「butterflies」。

ダンサブルなこの曲は、ライブにとても合っているなと思った。

空は曇り空だったが、ときどき雲の合間から月が顔を覗かせていた。

アンコールは期待通りでこの状況にぴったりな「天体観測」。

とても素敵な夜になった。

 

何より素晴らしかったのは、新曲である。

始める一瞬前に、藤原さんが「◯◯やります」と、ボソッと言って始まった。

聞き取れなかった。

そしてそれから演奏された曲は、私が聞いたことがない曲だった。

聞いたことがない曲など、ないつもりでいる。

「えっ?もしかして今、新曲って言った?新曲って言ったの!?」と、疑問と興奮で爆発しそうになったが、そんなことどうでもよくなるくらい素晴らしい曲だった。

ファンも初めて聴く曲に戸惑っている感じが見受けられたが、私は一人でノリノリだった。

とてもBUMPらしい歌詞で曲で、すぐにシングルで出して欲しいと思った。

ライブの最後で藤原さんが、「ツアー中に作って、今日初めてやる曲で、『アリア』って言います。(中略)今日皆さんに聞いてもらうことで、この曲は初めて生まれました」と言っていた。

後ろの席で女の子が感動して泣いているのがわかった。

「わかる、わかるよ。だって新曲を最初に聞いたファンになったんだよ」と心の中で同情した。

月並みな演出やセリフなのかもしれないが、それでもやはり嬉しい。

私が若い女の子なら、一緒に泣いているところである。

 

とまあ、そんな感じだった。

私はその日寝るまで、ライブの余韻に浸っていた。

普段はそんなことはしないが、もう彼女そっちのけだった。

はたから見ればとても冷めたファンに見えたかもしれないが、心の中はずっと興奮していた。

彼女もさすがに今回は、私がステージに釘付けになっていたことに何も言わなかった。

この胸中の興奮を彼女に話しても伝わらないと踏んだので、私は翌日の最終日に親友がライブに行くのを待って、この興奮を語り合った。

いやもうほんと、この興奮でしばらくご飯食べられる勢いである。