異呆人

毒にも薬にもならない呟き

反骨の精神①

高校生の頃は、人生で一番トンがっていたと思う。

別にヤンキーだったり、授業をサボったりするような人間だったわけではない。

反抗的というか、世の中を斜に見たような、扱いづらい少年だった。


授業中は興味のない科目は寝ていた。

というか、数学の授業はほとんど寝ていた。

あるとき、あまりにずっと寝ているので、「たまには問題を解いてみろ」と教師に言われた。

顔を上げて見ると、アルファベットのSを縦に引き伸ばしたような記号が数式の頭に付いている。

初めて見たので、「あのミミズみたいなのは何ですか?」と聞いたら、教室中が爆笑した。

教師からは「もういい」と言われた。

微分だか積分だかで使う記号らしいと、後から教わった。

知らない間に授業が進んでいた。


またあるときは、目覚めた途端に笑い声が起こった。

何を笑われているのか状況がわからず、前の席の生徒に聞いてみたら、「お前、さっきまで散々起こされたのに、起きなかったんだよ」と教えてくれた。

自分がそこまで深く寝入っていたことに驚いた。

またあるときは、目覚めたら教室に誰もいなかった。

体育の授業の時間だった。

誰か起こして行けよな、と思ったが、それだけ声をかけにくい人間だったのかもしれない。

自業自得である。


休み時間も寝ているか、本を読んでいた。

なぜか昼休みに教室で本を読んでいると、他の生徒が出払ってしまうことがよくあった。

そういうときは静かな環境で読書を楽しんだ。

しかしそんなときに、友達を探しに来たであろう他のクラスの女子が入ってきたりすると、その子が「すいません!」と謝って逃げ出したりした。

いや、教室は私のものではないので謝る必要はない。

むしろ謝るべきは、我が物顔で教室を占有している私である。


そんな具合だったので、友人は部活の仲間くらいで、少なかった。

やたらと寝ていたので、数学は何度か補習を受けさせられたが、他の科目は総じて成績は良かった。

記憶力の良さで、すべての努力不足を補っていた。

高校は地元の進学校だったが、数学以外の科目は五指に入る成績だった。

私が授業で常から手を抜いているのが明白だったので、何人かの教師からは目を付けられていた。


担任でもあった英語の教師には、授業中にしょっちゅう当てられた。

予習など、もちろんしていない。

適当に「わかりません」と言うと、「わかるところだけ訳してください」と追い打ちがくる。

で、私がわからなかったところを他の生徒に向けて解説する。

国語の授業でも狙い撃ちにされた。

ここでも「わかりません」と逃げるのだが、教師も「いいから書け」と譲らない。

仕方なく記述問題の解答を黒板に書くと、なぜかべた褒めされた。

「難関校の記述問題を解くには、これくらいのセンスが必要だ」とか言われたが、私には難関校を受ける気はなかったし、その実力もなかったように思う。

国語は記憶力ではどうにもならないが、本ばかり読んでいたせいか、読解問題は異様によくできた。


ちなみにこの英語の教師からは本を借りたことがある。

ちょうど村上春樹の「海辺のカフカ」が流行っていた頃で、「あれって、面白いんですかね」なんて話をしたら、「私、買ったから、今度貸してあげる」と言われた。

ついでというか、その教師が好きだという池澤夏樹の本も貸してくれた。

毒舌で有名な人だったが、私は意外と馬が合った気がする。


授業態度が悪いだけでなく、宿題をまったくやらなかった。

多くの教師は完全に諦めていたが、生物の教師だけは執拗だった。

授業中に立たされていつ提出するのか聞かれた。

私はさらさら出す気がないくせに、適当な日にちを回答した。

もちろんその日になっても出さない。

また立たされて、いつ提出するのか聞かれた。

私はまた適当な日にちを回答したが、教師も出す気がないことを見抜いたのか、「今日中に出せ」と言ってきた。

私は無視して部活動に参加した。

そのうち、校内放送で呼び出された。

「呼ばれてるよ?」と同級生は心配したが、「聞こえなかったことにする」と無視を続けた。

そうすると、その放送を聞いた部活の顧問が血相を変えてやってきて、こっぴどく怒られた。

当たり前の話だが。


続く。。。