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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

完走できなかった感想 〜飛騨高山ウルトラマラソン〜

先週の日曜日、飛騨高山ウルトラマラソンに出場してきた。

きっかけは友人からのお誘いである。

バカなことが大好きな昔の陸上競技仲間で、以前には個人的に100kmマラソンを企画したこともある。

私はそのときにも参加し、50km程度でリタイアしている。

なぜ今回も参加を決めたかというと、私もバカなことが大好きだからである。

完走できる気は、もとよりしない。

私は長距離ランナーではあるが、長い距離をゆっくり走るのが苦手である。

脚筋力が弱いのだ。

だからペースが速かろうが遅かろうが、体力が残っていようが、一定距離で足の限界がくる。

42.195kmで、ペース次第で何とか完走できるレベルである。

しかも最近は月間50〜60kmしか走っていない。

ランニング仲間からすると失笑レベルである。

まあ歩いてでもゆっくり進んで、無理ならリタイアすればいいかと気軽に考えた。

もちろんウルトラマラソンは初めてである。 

大会の選定は皆でいろいろ考えたが、主に出場するメンバーの日程の都合から飛騨高山に決まった。

3人で参加するので、抽選になる大会にはエントリーできない。

サロマとか四万十川ウルトラマラソンは魅力的だったが、侃侃諤諤の議論の末に決まったことなので仕方ない。

飛騨高山はアップダウンが激しいことが最後まで難点として上がったが、タイムを狙う訳ではないから別にいいだろうということで落ち着いた。

 

大会前日に友人たちと車を乗り合わせて飛騨高山に向かった。

運転は半分ほど私が担当し、結構長かったが、運転は好きなので気にはならなかった。

先に高山駅前のホテルに向かってそこで車を停め、シャトルバスで会場に向かうことにした。

車を降りた途端に強烈な日差しが襲ってきた。

まるで真夏のような暑さである。

道路上の気温計は31度を示していた。

あり得ないと言ってもいい。

明日もこの天候なら、早々にお陀仏かもしれないと話し合った。

さて、会場に向かう前にちょうど昼だったので、近くの食堂みたいなところで飛騨ラーメンを食べた。

あっさりしていて好みだった。

なめこが入っていたが、キノコは蕎麦でなくラーメンでも合うものだなと思った。

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会場に着くと、まずゼッケンを引き換えた。

参加賞がいろいろ入っていたが、さるぼぼのストラップが可愛いかったので、すぐにカバンに付けた。

あとは地元の小学生からの応援メッセージも入っていた。

なぜかすでに走り終わった人に宛てたメッセージになっていて苦笑した。

それからコース説明会とやらを聞いた。

コースについていろいろレクチャーしてくれるらしい。

スマホアプリで遊びながら、半分の頭で聞いていた。

ダブルピーク、裏ボス峠、ラスボス峠という単語だけが頭に残った。

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説明会を聞き終えると、物販のスペースを見て回った。

フルマラソンでも何でも、レース会場での物販は処分品が多くあり狙い目である。

まあ、あまり真剣に取り組んでいない今は、特に欲しいものは見当たらなかったが。

HOKAというウルトラ向けと思われるシューズが、初めて見たので面白いなと思った。

店舗で売っていることはあまりないらしく、ネットで買うから普段試着ができないと、多くの人が列をなしていた。

ソールが極厚なわりに重量は軽く、やはりああいう装備が必要なのだろうかと考えてしまった。

あと、ここでメダリストを購入した。

エイドは充実してそうだが、エイド間での補給が何もないのは心配である。

なんせウルトラは初めてなので、補給の勝手などまったくわからない。

たくさんある補給食の中で何がいいかわからなかったが、昔トライアスロンをしていた先輩がメダリストを使っていたのでそれにした。

 

ホテルに戻るとすぐに夕飯を食べた。

普段からすればかなり早い食事だったが、なんせレースは朝5時スタート、起床は3時の予定である。

さっさと食べてさっさと寝ないとレースに差し支える。

食事はホテルの和風懐石だった。

飛騨牛の蒸篭蒸しが美味かった。

食事後、風呂に入り、ゼッケンをつけたりなんだりと準備をし、すぐに寝た。

20時半就寝とか寝付けるか心配だったが、朝早くから車を運転してきたこともあり、疲れていたらしく気付いたら爆睡していた。

 

翌朝は目覚ましより早く起きた。

私の身体は起きる時間を意識していると、目覚まし時計並みの体内時計が働く。

ただし概ね早く作動しすぎることが多く、今回も1時に目が覚め、そこから小刻みに30分ごとくらいに目が覚めた。

逆に身体に障る。

時間になって改めて起床し、準備をして朝食を食べて会場に向かった。

ウルトラマラソンに参加する宿泊客がほとんどだったため、超早朝にも関わらずホテル側がテイクアウト形式の朝食を臨時に準備してくれた。

こういう気の利いた対応は大切だなと感じる。

 

4時に高山駅発のシャトルバスに乗り、会場について準備をしたり写真を撮ったりしていると、すぐにスタートの時間が迫ってきた。

4時半に大用を足そうとトイレに並んだら、恐るべきことに列がなかなか動かない。

あれよあれよという間にスタート時間が近づいてくる。

実はここ数週間腹の調子が良くなかったので、不安を抱えたままスタートするわけにはいかなかった。

しかも後ろに並んでいるオヤジが私のゼッケンを見て(ゼッケンでスタート時間がわかる)、「もうスタートなんじゃないか?」とわかりきっているおせっかいを言ってくる。

わかってるんだよ、でも、このままスタートラインには並べないんだよ!

という心の声をできるだけ穏やかに変換し、微笑を浮かべながら応対した。

結局スタート5分前くらいには、スタート地点に着いた。

心を整える時間もなかったが、整えなければならないほど緊張しているわけでもない。

そうこうしているうちに号砲が鳴った。

 

3段階のウェーブスタートの2群目、その最後方からのスタートだった。

飛ばすつもりはさらさらなく、マイペースに走った。

最初はほとんど平地だったが、普段のフルマラソンのように遅い人を掻き分けるでもなく、景色を眺めながらののんびりランである。

古い町並みが趣があって良かった。

最初の10kmが61分。

別にウルトラランナーの一つの目標であるサブ10を目指すつもりはないが、まずまずのペースである。

10kmを超えてから、最初の難所である美女高原が現れた。

本格的な坂だが、走れないこともない。

しかしまさかこんな10km少しで消耗するわけにもいかない。

知り合いのウルトラランナーのFBで、上り坂をゆっくり走るなら早歩きでもペースは変わらないとあったので、物は試しと実践してみた。

やってみると走るのとほとんど変わらない、というか走るより歩いた方が速い気がした。

しかも私は少しだけ競歩のトレーニングをしたことがある。

並みの人よりはかなり速く歩く。

上り坂で歩きながら、走っている人をどんどん追い越した。

途中で中年の女性から、「走っている私より、歩いてるあなたの方が速いじゃない!」と怒られた。

怒られても困る話である。

10km〜20kmのラップは58分。

上り坂を交えてもほとんどタイムは変わらず、調子は良かったように思う。

 

20kmからはスキー場に向けての急激な上りになる。

この区間はほとんど歩きである。

私の周囲にいる人たちは軒並み歩いていた。

繰り返すが、走れないことはない坂である。

ただしそれが10km以上延々と続く。

しかも100kmからすれば序盤の地点で、である。

それはもう、後のことを考えると恐怖でしかない。

私レベルのランナーであれば、ここで駆け出すのは勇気でなく蛮勇である。

しかしほとんど歩き通しだったにも関わらず、この10kmのタイムは59分であった。

上り坂を6分/kmで歩いたことになる。

我ながら、陸上競技現役時代に競歩でもやれば良かったと思ってしまう。

 

30kmのエイドでの蕎麦が美味かった。

冷たいと思ってかき込んだら、暖かくて面食らってしまったが。

 

30kmからは急激に上った後、コース最高到達点まで上ったり下ったりを繰り返す。

ここでの下りが厄介だった。

上りはペースを調整したり歩いたりして足への負担を軽減できるが、下りは否応無しに地面に叩きつけられるように進んでしまう。

しかも10km置きにマメにトイレピットインをしていたにも関わらず、この辺りで腹痛が襲ってきた。

ペースをかなり落とし、腹痛と足への衝撃と戦う。

幸い腹痛はしばらくすると治り、コースも下りはそこそこですぐに平地と上りに変わった。

30km〜40kmのタイムは70分。

かなりペースを落としたが、それでも悪いタイムではない。

昼が近づき、さすがにお腹が空いてきたので、スキー場の40kmのエイドではおにぎり2個とアミノバイタルのゼリーを補給した。

走って汗をかいている状態で、あのおにぎりの塩味はたまらない。

 

しっかり補給をしたおかげで体力も気力も回復し、いよいよこれからと思って走り出した。

しかしそのやる気はほんの数kmで簡単にくじけることになる。

スキー場のエイドから1kmほど進むと、急激な下り坂が見えてきた。

私はここ数年、練習不足の状態でレースに臨むことが多く、おかげでかなり膝を痛めている。

普段走る分には問題ないのだが、この急激な下りはマズイと思った。

身体全体を使ってブレーキをかけながら走るが、さすがに膝への衝撃が軽減しきれない。

1kmほど下ったか下らないかのあたりで、諦めて歩くことにした。

変に膝をかばって走るので、筋肉に負担がかかって、どのみち100kmも保ちそうになかった。

きちんとコースを確認していれば、最初からわかっていた話ではあるのだが、それが今回の私の準備の程度なのである。

仕方ない。

後ろ向きに歩いて坂を下るなどし、できるだけダメージを減らそうと試みた。

そして平地に戻ったら走りだそうと思っていたが、すでに足は動かなくなっていた。

しかもレース開始時にはなりを潜めていた太陽が顔を出していた。

暑いは足が動かないはで、心もすっかり折れてしまった。

下り始めた時点でリタイアを意識していたが、下りきった時にはその覚悟は固まっていた。

 50km手前のエイドでリタイアを申告した。

 

その後、収容のバスを乗り継いで会場まで戻った。

戻る途中、同様にリタイアした何人かから「どうしましたか?(なんでリタイアしたの?)」と聞かれた。

皆やっぱり気になるし、ついでに自分の話をしたいようだった。

私は膝爆弾のせいにしてしまいたいところだが、ただの練習不足が原因なのでそう答えておいた。

収容バスを待つ第三関門のエイドでは、のんびり焼きそばなど食べていた。

緊急時の補給食であるメダリストも全部食べてしまった。

しばらくはこれが必要になるようなレースには出ないだろう。

ちなみに友人たちは、1人は下り坂の途中で私を追い抜いていった。

膝が痛い話はしていたので、後ろ向きに歩いて坂を下る私を見て察したようだった。

彼は12時間ほどで見事完走した。

さすがに言い出しっぺ。

足の強靭さも相変わらずである。

もう1人は私がリタイアを申告したエイドで追い抜いていった。

まだ少し余裕があるので、いけるところまで頑張るという話をしていたが、70km過ぎでリタイアしたそうだ。

コースいちの難所と言われる千光寺の坂まで登ってからやめるあたりが勇者である。

2人とも素晴らしい頑張りで、なんだが自分が少し情けなくなった。

 

会場で友人たちと合流し、ホテルに戻って風呂に入って夕飯を食べた。

夕飯は洋食で、飛騨牛のサーロインステーキがとろけていて美味かった。

ホテル内で使える金券が余っていたのでワインで乾杯した。

結局私は温泉と食事を楽しみ、ちょっとばかり苦しい思いをしただけになってしまった。

帰りは早朝に1人で高速バスで帰った。

ウルトラマラソンはすでに終わっているにも関わらず、早朝に出立する人向けの朝食を準備してくれたホテルの配慮が素晴らしかった。

今回の100kmウルトラマラソン自体は楽しかったし、いつかリベンジしたいとは思う。

だがしばらくはしっかりトレーニングする時間が取れそうにない。

いつかいつかと夢見たまま、歳を重ねていきそうな気がする。

まずはぼちぼちとフルマラソンを走っておこうかな。

続けていたら機会が巡ってくるかもしれない。

チャレンジしてみることが大事。

100kmの道も一歩からである。