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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

戦略と戦術

最近、うちの会社の社長が暴走気味である。

今までの経緯や積み重ねてきた議論を無視した施策を打ったり、昨日言ってたことが今日変わっているといった事態が起こっている。

一つ一つの言ってることは正論であるし、それほど間違ってもいないのだが、タイミングとか手順とか程度に問題がある。

まずもって人の話を聞かないし、人の気持ちを斟酌しない。

それが一番問題である。

 

今いる会社はベンチャーみたいな小企業だが、資本が大手で経営陣はそこから派遣される。

主に引退前の部長クラスが片道切符で寄越されるが、業界がまったく違うので彼らのノウハウはほとんど役に立たない。

で、大体マーケットを理解してきたくらいで定年を迎え、また新しい経営陣がやってくる、というループを繰り返している。

株主はお金持ちなので困らないが、中身は真っ赤っかでいつ清算されてもおかしくない。

 

辞めようかという人間はいるが、現場はギリギリの陣容で戦っているので、1人が抜けると雪崩れを打って崩壊しかねない。

わたしも何度か転職を考えたが、思い留まっている。

新しい仕事を探すのも大変だし、何より私の場合は沈む船から逃げ出してばかりなのである。

今度くらいは一緒に沈没してもいいかなと考えている。

 

どうしたら助かるか、皆それぞれに考えるのだが、綻びだらけで何から手をつけるか難しい。

こっちの穴を塞げば、あっちの穴が空くような有り様である。

だから私は会社としての方向性を明確に定めてほしいと思っている。

思うだけでなく、実際に言ってもいる。

あまり取り合ってもらえないが。

 

経営において最も大切なものは理念である。

つまり顧客や社会にどんな価値を提供するのか、どんな存在であるのか、ということである。

昔読んだドラッカー氏の「マネジメント」にも、確かそんなことが書いてあった。

そしてその価値を提供し続けるために、利益を上げなければならない。

理念を実現するため、利益を生み続けるために必要なのが、戦略と戦術である。

 

例えば、吉野家の有名なキャッチフレーズに「はやい、やすい、うまい」がある。

吉野家のHPによると、これは経営理念の一部(価値観と表記)のようだが、吉野家の戦略を端的に表していると思う。

忙しいサラリーマンが短時間で食べられる旨いランチ。

そんなイメージが浮かぶ。

もちろんそれが当初のメインターゲットだった。

とても簡潔で明瞭である。

そして戦術として、短時間で安価な牛丼を提供したのだ。

それが世の中に受け入れられたのは周知である。

 

戦術は当たることもあれば、外れることもある。

その成否に影響を与えるのが、戦略に沿っているかどうかである。

例えば、商品の価格を上げることは戦術である。

原材料費が上昇すれば、値上げは企業の存続のためにやむを得ないこともある。

だが価格が上昇すれば客離れを招くかもしれない。

値上げしても勝手もらえるように質を高めるのも一策である。

逆に質を落として価格を維持するのも一策である。

少し前は、内容量を減らして価格を維持するという戦術が流行った。

結局どれを選ぶかは、その企業がどんな戦略でもって市場を生き抜いていこうとするのかによって変わる。

 

私は今いる会社の戦略が不明瞭であることが主な失敗の要因だと思うので、先日、記名式のアンケート用紙いっぱいに戦略に関する要望をぶちまけた。

どこまでちゃんと読んでくれるかわからないが、私ができる精一杯のことである。

ただでさえ長口舌で煙たがられているので、目も通してくれない可能性もあるが。

 

ちなみに価格に関しては、最近ではユニクロが戦略と戦術の失敗を認めている。

先述の吉野家は、私はうまく立ち回っていると思う。

一時期から高付加価値路線に転向したが、ここにきて豚丼を再投入してきた。

絶妙なタイミングである。

そして旨かった。

すき家松屋もそれぞれに長所があるが、味はやはり吉野家だなと思う。