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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

営業は準備が7割

私はずっと営業職をしている。

何度か転職しているので、相手が個人だったり法人だったり、扱う商材が有形だったり、無形だったり、いろいろである。
営業の仕事はもちろん好きだ。
嫌いなことをずっと続けられるほど、私は忍耐強くはないし、物好きでもない。
ただ絶対営業じゃないと嫌、ということはない。
最初が営業職だったということと、比較的仕事の裁量が大きいことが私にとって魅力的だっただけだ。
 
業界や商材などによって、スタンダードな営業スタイルは異なるし、本人の適性もあるので何が正解というのはないと思っている。
だから私は「こうしたら売れる」とか「一流の営業はこうしている」みたいな新書が嫌いだ。
ただ共通して大切なことはあると思う。
それは目の前の契約を取ったり、売上を上げるためだけでなく、仕事全体を円滑に進めるために必要なことである。
不適切な売り方をするのは論外だが、それだけでなく、仕事はたくさん取ってくるが書類が不備だらけで事務部門に不要な負荷をかけたり、無駄な経費をたくさん使っていたりする営業は以外に多い。
サッカーで言えば営業はフォワードである。
点を取ることが仕事だ。
ただまったく守備に汗をかかなければ、チームが負けることがあるかもしれない。
点は取るものの同時に敗因を作っているのであれば、むしろ邪魔である。
繰り返すが、以外にそういう営業は多い。
そしてそういう営業ほど、点を取っている自分は優秀だと勘違いしていたりする。
 
会社の同僚に、コミュニケーションが得意でないと自称する営業がいる。
どちらかというとおとなしいタイプで、弁が立つ方ではない。
でも私は彼のことを優秀だと思っている。
派手な成績を収めているわけではないが手堅い。
サッカーでいうと、5点取って3点取られるのと、2点取って失点しないのとでは、得失点差は同じである。
彼は1点、2点しか取れなくても、無失点で切り抜けられる強さがある。
 
それは彼がしっかり準備をしているからだと、私は思っている。
コミュニケーションに苦手意識があるからこそ、その弱点を補うために、より準備に力を入れているように見受けられる。
コミュニケーションに自信のある、スタンドプレーで何とでもできると思っている人ほど、準備を蔑ろにしがちである。
この準備こそ、どんな営業にも共通して大切なことだと思う。
私は「営業は準備7割、交渉3割」だと考えている。
 
準備とは顧客に見せる資料を作り込むだけではない。
ターゲットを選定し、アプローチ方法を考えることも準備である。
できるだけたくさんの顧客と接するため、タイムマネジメントをしたり営業ルートを考えることも準備である。
社内の根回しをしたり、種々の決裁を取っておくことも準備である。
というか、実際に顧客と会って話をしている時間以外は、すべてそのための準備なのである。
これがしっかりできていないと成果は上がらないし、いくら成果を上げているように見えても、実は単位当たりの生産性が低かったりする。
 
営業の成果というのは量と質によりもたらされる。
野球でいうと、打席数と打率である。
打率はコミュ力でカバーできるが、打席数は準備(この場合、行動管理)なくしては増えない。
また準備がしっかりしていないと思わぬミスをする。
場合によっては周囲に迷惑をかけて、全体の生産性を低下させる。
いくら個人で成果を上げていても、他人の足を引っ張っていては会社人としては失敗である。
 
当たり前の話なのだが、当たり前のことを当たり前に行うのは以外と難しい。
件の同僚はそれができるから優秀である。
顧客とのコミュニケーションにおける小手先のテクニックなど、すぐにボロが出る。
そんなものを身につけることに腐心するくらいなら、そこに至るまでの準備に力を入れる方が余程実がある。
仕事は大卒なら新人から30年は続けることになるのだ。
地味で地道な努力こそ、10年、20年先でも光ことだと思う。