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異呆人

毒にも薬にもならない呟き

保育園問題の問題

「保育園落ちた日本死ね」というブログ記事が話題沸騰している。

表現の問題はあるにしろ(むしろこの場合過激な表現が奏功している部分もあるが)、主張と心情は理解できる。

首相がブログの匿名性を問題にして取り合わなかったため、事態はより炎上した。

はっきり言って、かなり不味い発言だったと思う。

向かうところ敵なしで天狗になっているきらいのある安倍さんだが、うっかり口が滑ったのだろうか。

ここぞとばかりに野党はこのネタを取り上げ、政権叩きに必死である。

最早、本題が置き去りにされている感すらある。

 

待機児童が問題になって久しい。

問題になって以降、一時期は改善の兆しが見えて待機児童ゼロ宣言をする自治体もあったが、子供を預けて仕事に出る母親の数は年々増えており、現状はイタチごっこと言える。

政治の場で取り上げるということは、何らか政治的対応を求めているのだろうが、そもそも何故待機児童問題が発生するのだろうか。

 

当たり前だが、預けたい子供の数より受け皿である保育園の定員が少ないから起こるのだ。

ではなぜ保育園の定員が少ない、つまり保育園は増えないのか。

一つには用地の問題が挙げられている。

認可を受けるには園児一人あたりに必要な施設面積が決まっている。

さらに定員も何名以上と決まっているので必然的に大規模なものが必要になる。

都市部であれば、まず用地を確保することに苦労する。

賃料が高ければ運営が成り立たない。

 

上記にも絡むが、自治体予算の問題もある。

保育園の運営は、実質的にそのほとんどが補助金により賄われている。

増やせば増やすほど自治体の負担は重くなる。

予算潤沢な自治体などほとんどない。

それでも保育・育児関連の施策はウケがいいので、自治体も頑張っている方だと思う。

それから、働き手である保育士の確保に苦労することがある。

保育士は低賃金である。

これは介護にも通じることだが、働き手の処遇改善なくして、これらサービス業の未来はない。

同じサービス業の飲食が、ゼンショーの問題などでどういった経過を辿ったか考えればわかる。

 

よく挙げられる問題を考えれば、保育園問題の問題は一言にまとめられる。

要するに、保育園は儲からないのである。

だから増えない。

これだけ需要があるのだ。

儲かるなら企業がどんどん参入してもおかしくない。

ただでさえ、幼児を預かることには様々なリスクがある。

病院ほどではないにしろ、命を預かっているわけである。

余程志があれば収支トントンでもできるのだろうが、そういった社会的意義に頼った結果が現状だとも言える。

 

個人的には、保育料を今の2倍くらいがスタンダードになるように値上げすればいいと思う。

自治体やその家族の収入にもよるが、日本の保育料は月2〜5万円くらいで、アメリカなどと比べてもかなり安い水準にある。

もちろん多額の税金が入ってこの金額なのだが、公費の支出は現状と同じくらいで維持し、値上げ分を人件費や健全な経営を支える原資にするのだ。

それで保育園問題の大半は片付くと思う。

 

もちろん、世帯収入の低い家庭やシングルマザーなどには配慮する必要がある。

だが、女性が出産しながらキャリアを継続するには、そこまでしないと現状の社会構造では待機児童の問題は解決しないと思う。

女性側の手取りの半分くらいが保育料に消えても、それで女性のキャリアが継続し、最終的に生涯賃金が改善すれば十分でないだろうか。

負担を減らすには公費の支出が必要で、それは結局私たちが払っている税金が使われるのだ。

ならば利用者負担を求めることは、同じこととも言える。

認可保育園は低所得者から入ってもらい、それ以外の人は無認可を積極的に利用してもらうのもいい。

 

保育士の資格を持ちながら、保育に携わっていない人が相当数いる。

この人たちに働いてもらえれば、保育園問題は解消するというバカな政治家がいる。

資格を持ちながら保育の職に就かないのは、それなりの理由があるだろう。

その大きな一つが、待遇面の問題だと思う。

ただ働いてもらえばいいというのでなく、もっと構造的な問題がある。

人間が経済学でいう完全に合理的な経済人でないことは、近頃よく指摘されている。

それでも損得には非常に敏感だと思う。

特に目の前の損得には。

具体的なメリットを示す必要がある。

 

保育料が値上がりすると懐は痛い。

でももっと未来の母親たちのためにも、目の前の痛みは我慢しなければならないこともあると思う。

そもそも男性中心の仕事社会が根本的な問題なのだ。

女性がキャリアを継続し、社会的地位の高い人に占める割合が増えれば、必然的にこの問題は解決する方向に向かうと思う。

今はまだ、「預けられないなら主婦になればいいじゃん」という風潮が社会の根っこにある気がする。

 

ただ自分さえ良ければいいという思いを持つ人が多ければ、一向に改善しない問題だとも思う。

保育を必要とする期間は人生において短い。

一時何とかなれば、根本的解決は必要としないと考える人も出てきそうだ。

偏見を承知で言うと、例のブログ記事にもそういう自己中心性を感じる。

きっと個人的には仲良くなれない人だろうな。